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盤石なデータ管理なしに企業競争力は生まれない!

「IT Leaders特別セミナー」事後レポート

2017年4月7日(金)IT Leaders編集部

インプレスは2017年3月10日、IT Leaders特別セミナー「盤石なデータ管理なしに企業競争力は生まれない!─ デジタル革新に向けた本当の起点とは ─」を都内で開催した。本稿では、当日の主要なトピックをレポートする。

パネルディスカッション
データの管理と統制、そもそもの目的は何なのか

 セミナー最後のセッションは、「データで攻める、データを守る─その勘所とは?」と題したパネルディスカッション。HPEの春木氏に加え、PwCコンサルティングの高橋功氏がパネラーとして登壇した。データ&アナリティクスに関わるテクノロジーコンサルティングを手掛けている高橋氏は、データマネジメントの分野で20年以上もキャリアを積んできた経歴を持つ。なお、司会進行はIT Leaders編集部が担った。

 最初の論点は「データのマネジメントやガバナンスが遅々として成熟していないことのリスクをどう捉えるべきか」というもの。ここで高橋氏は「私からは“攻めのブレーキになる”という観点でお話ししたいと思います」とし、次のように続けた。

PwCコンサルティングでシニアマネージャーを務める高橋功氏

 「今後は競争力強化の一環で企業のM&Aがますます活発になるでしょう。プロセスの標準化や統合には時間を要するため、まずはデータの連携や統合を先行させるのが一般的。ここで、日頃からデータマネジメントの意識が希薄な企業の場合、データ不整合が起こるのは目に見えていて、それに対処するロスや、それに起因するミスリードは軽視できないレベルのものです」と高橋氏。さらに、こうも指摘する。「BCP(事業継続計画)の面では、データの増大に具体的施策が追い付いていない実態があります。例えば被災した拠点のローカルデータが見えなくなって、社内外につながるサプライチェーンなどが機能しなくなってしまう。連携や保全の配慮不足が露呈して、攻めの足を引っ張ってしまうのです」。

 春木氏は、データの“中身”に踏み込んだ管理がなされていないことがリスク拡大を助長している点を指摘した。「インフラ、すなわち“箱”はIT部門が責任を持って用意するけれど、中にいれるものに対してコントロールやガバナンスを効かせる体制がないのが多くの企業の実態ではないでしょうか。何が重要なデータなのか、企業価値を生むのか否か、そうした分類がされないまま、ファイルサーバーなどに、いたずらにデータが溜められていく。経営資産とならないばかりか、リスクの種ばかりを散乱させているようなものです」。

 こうした無秩序な状態にどう切り込んでいけばよいのか。両氏が共通して訴えるのは、まずは既存データの棚卸しをしてみるということだ。「起点となるのはデータの分類です。とはいえ大手企業ほどその量は膨大で一元的に管理するとなるとハードルが上がってしまいます。私どもがプロジェクトを手掛ける場合は、お客さんと相談しながら、グローバル/リージョン/ローカルといった“地域軸”、もう一方では、製造や販売といった“事業軸”、これらのマトリックスを整理して、優先順位をつけながらデータを分類するようにお勧めしています」(高橋氏)。

 分類と並行して、「だれがデータに対して責任を持つのか」という役割に入り込んでいくことも重要だという。「業務部門は、自分たちが扱っているデータに対しては管理意識は高いものの、その枠を外れると無頓着です。そこで、組織横断的に動けるIT部門と一緒にコラボレーションする体制を整えるのが効果的。それが成り立てば、グローバル統制や業務個別統制など、多段階の役割分担と手順が確立できるようになります」と高橋氏はアドバイスする。

 「データの中身や責任の所在を明確にするのはとても重要なこと」と同意する春木氏は、自社のかつての経験を例に挙げた。ヒューレット・パッカードとコンパックコンピュータが合併した際、「CEOがCIOに大きな権限を与えました。具体的には、大きな枠組みとしてのエンタープライズアーキテクチャをCIOが定め、事業部門はそれに従いなさいと明言したのです」。アプリケーションの重要度や、それに応じたBCP/DR対策、データのオーナーといったものが体系的に明確になり、結果、インフラも極めてシンプルな構成になったという。「データを本当の意味での経営資産とし、攻めと守りに活かす。そのためには、多くの企業において曖昧なままとなっている“責任”に切り込むことが欠かせません」(春木氏)。

 国内においても、データ利活用の高度化に熱心な企業の一部では、データの管理や統制を担う組織や人材を設置する動きが出始めている。「もっとも、現場における実務は総じて地味で、モチベーションを維持するのが難しいのではないか」とモデレータが疑問を投げかけた。

 それに対して高橋氏は「そこだけを専門にすると、疲弊するし永続性がないかもしれません。うまく回っている会社では、ビジネスアナリティクスというか、データを使って次の一手をアドバイスするミッションを持たせているのが特徴です。その役割の一環として、データの品質アップや高度な活用、リスク回避に当たっているのです。つまりは経営や業務部門に直接的に貢献しているという肌感覚があるからこそ、より高みを目指していけるのです」との見解を示した。

 「そもそもの目的は何なのかという視点を忘れてはなりません。データの管理や統制自体をゴールと勘違いすると、とたんにつまらなくなるし、周囲から反発をくらうかもしれない。そのデータはどんな価値を生むのか、どんなリスクに直面する可能性があるのか、一連の流れをとらえて問題意識をもつ取り組みと枠組みが欠かせないのです」(春木氏)。

 この論点は、データマネジメントにかかわる投資効果にも深くつながってくる。例えば、マスターデータを一元統合するMDMツールひとつとっても、その機能をミクロな視点で見てしまうと直接的な収益効果が説明しにくいといったことがある。

 「視点を転じて、しかるべき環境が整っていなければ、どんな機会損失や収益面でのダメージを受けるのかを考えるのも一つでしょう。情報を漏えいさせて訴訟を起こされたらどうなるか、正当性を主張できるだけの材料はあるか、ということです」と春木氏。データのつながりを大局的にとらえて、投資の妥当性を判断すべしという意見だ。

 高橋氏は「データマネジメントの取り組みが進んでいる企業は総じて、“データを成長の味方につけるのは経営マター”とトップが認識しています。つまりは、管理のためのデータマネジメントから、活用のためのデータマネジメントに意義を見いだしているのです」と話す。

 テクノロジーは日々進化し、企業を取り巻くデータの種類も量も指数関数的に増えている。各種の業務システムで扱い慣れてきた構造化データは、今は全体の1割ほどという説もあり、残りは新しいタイプで、まだまだ管理も統制も行き届いていないデータであるとの見方もできる。こうした大変革期を迎えている中で、現実を直視していち早く手を打つ企業と、静観を決め込む企業とでは、今後の成長に大きな開きが出てくることは間違いない。そのことを再認識させる場となった。

◇ ◇ ◇ 

 社内外にあるデータをいかにビジネス価値に昇華させるか──。企業が競争力に磨きをかけていく上で欠かせないテーマである。ここで、ともするとアナリティクスなど表層的な活用局面にばかり目を向けがちだが、最も重要なのは、データのライフサイクルに沿ってきちんと管理する仕組みを具現化することだ。

 セミナー当日、HPEの春木氏から話があったように、同社はデータの管理や保護、ガバナンスの領域で長きにわたって実績を積み上げてきており、企業の課題を広くカバーするソリューションを展開済みだ。今回、データ増大に伴うリスクや価値を整理すると共に、データ管理基盤のあり方や、それを巧く活用してメリットを享受している具体的事例を分かりやすく詳解した資料を用意した。是非一読し、貴社のビジネスに活かしていただきたい。

 

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