ニュータニックス・ジャパンは2017年5月16日、同社製品の営業活動とマーケティング活動を趣旨としたベンダー組織「Enterprise Cloud Association」を設立したと発表した。活動の一環としてNutanix製品のユーザー会が発足すること、ユーザーが手に入れられるNutanix製品の選択肢が広がることなどをメリットに挙げる。
「Nutanixのユーザー会を立ち上げる。ユーザーが利用できる検証センターも都内に設立した。パートナーと協力して、Nutanixのソフトウェアが動くPCサーバーの選択肢も増やす。仮想デスクトップでCADアプリケーションを動かせるように、GPUを搭載したハードウェアも手に入るようにする」──。
アプライアンス機器の台数を増やすことで規模を拡張できる仮想サーバー基盤、HCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)製品を提供する米Nutanixの日本法人であるニュータニックス・ジャパンは2017年5月16日、同社製品の営業活動とマーケティング活動を趣旨としたベンダー組織「Enterprise Cloud Association」を設立したと発表した(図1)。
拡大画像表示
同組織の当初の参加企業は10社(表1)。Nutanix製品の販売代理店、Nutanixのソフトウェアを組み込んだ自社製品を販売しているOEMパートナー、Nutanix製品を使ったシステム構築などを行うSIベンダー、Nutanix製品と連携する製品を販売しているベンダーなど、Nutanix製品が売れることによってメリットを受けるベンダーが参加している。組織には無料で参加できる。
エヌビディア |
CommVault Systems Japan |
シトリックス・システムズ・ジャパン |
新日鉄住金ソリューションズ |
ソフトバンク コマース&サービス |
TIS |
東京エレクトロンデバイス |
日商エレクトロニクス |
ネットワールド |
レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ |
表1:Enterprise Cloud Associationの参加企業
ユーザー会が発足、GPU搭載機などハードウェアの選択肢も増える
アソシエーションの活動の成果としてユーザー企業が得られるメリットは、大きく2つある。1つは、分科会活動の一環として、Nutanix製品のユーザー会が発足すること。これにより、ユーザー同士で情報を共有しやすくなる。システム構成などを検証するための検証センターも利用できる。
2つめのメリットは、パートナー各社の手によって、ユーザーが手に入れられるNutanix製品の選択肢が広がること。例として、米NVIDIAのGPUを搭載したアプライアンスを入手できるようになる。これとデスクトップ仮想化ソフトを組み合わせることで、CADワークステーションを仮想デスクトップ化できる。
Nutanixのソフトウェアを動作させるPCサーバーの選択肢も増える。例えば、現状では販売していない組み合わせとして、米Cisco Systemsや米Hewlett Packard EnterpriseのPCサーバーとNutanixのソフトウェアを組み合わせたアプライアンスを、SIベンダーを介して入手できるようになる。
オンプレミスのプライベートクラウド需要に応える
アソシエーション設立の背景について、ニュータニックスジャパンでコーポレートマネージングディレクター兼社長を務める町田栄作氏(写真1)は、「ハイブリッドクラウドの時代が来ている。パブリッククラウドだけでなく、オンプレミスのプライベートクラウドのメリットが認識されるようになってきた」と説明する。
「どれだけ負荷がかかるか分からないワークロードについては、まずはパブリッククラウドで試す。負荷などが分かってきたら、オンプレミス環境に移行することによってコストを下げる、といった使い方が一般的になった」という。加えて、HCIであれば、オンプレミス環境においてもパブリッククラウド並みに簡単にリソースを調達できるとしている。
前提となるHCIとは、サーバー仮想化ソフトと分散ストレージソフトを組み合わせた、仮想サーバー環境の構築に特化したアプライアンスのこと。サーバー機が内蔵するローカルストレージを用いて、サーバー間にまたがる分散ファイルシステムを構成する仕組み。これにより、サーバー台数を増やしていくことによってシステム規模をスケールできる。
分散ストレージソフトは米Nutanixの自社開発で、サーバー仮想化ソフトはVMware ESXi、Hyper-V、KVMベースの独自ソフト「Acropolis Hypervisor」(AHV)のいずれかを利用できる。AHV上でDockerコンテナを動作させることも可能である。
NutanixのHCI製品は、Nutanixの自社ブランド「Nutanix NXシリーズ」のほか、OEM製品として、米Dellの「Dell XCシリーズ」と中国Lenovoの「Lenovo Converged HXシリーズ」がある。