2017年5月の3本:世界規模でのサイバー攻撃が発生/「2017年はOpenStack普及元年に」とIDCが予測/日立がメインフレーム製造から撤退
2017年6月14日(水)松岡 功(ジャーナリスト)
2017年5月のニュースから松岡功が選んだのは、「世界規模でのサイバー攻撃が発生」「『2017年はOpenStack普及元年に』とIDCが予測」「日立がメインフレーム製造から撤退」の3本である。“見逃せない”理由と共に、それぞれのニュースのポイントをお伝えする。
世界規模でのサイバー攻撃が発生
世界規模でのサイバー攻撃が2017年5月12日、発生した。世界150を超える国と地域に広がったこの攻撃は、「ランサムウェア」(身代金要求型ウイルス)を使ったもので、マイクロソフトのOS「Windows」を標的とし、感染するとすべてのファイルを暗号化して利用できないようにし、それを復元するために金銭を要求するというものである。
スペインのコンピュータ緊急事態対策チームによって最初に報告されたこのランサムウェアは、ロシアやウクライナ、インド、台湾が最も被害を受けているとされ、犯人は北朝鮮やロシアなどに関係があるハッカー集団だとする指摘もある。
日本でも日立製作所やJR東日本、東京急行電鉄などが感染し、システム停止などを招いた。
[選択理由]
世界規模でのサイバー攻撃が発生すると、今回のような大騒ぎになるということを、私たちは肝に銘じておくべきだと考えるからだ。
この出来事については、ポイントを2つ挙げておきたい。1つは、今回の攻撃についてはマイクロソフトによるWindowsのアップデートにきちんと対応していれば、感染を避けられた可能性が高いことである。逆に言うと、アップデートに対応していないPCがまだまだ数多く動いていることを物語っている。
もう1つは、今回のランサムウェアが狙ったWindowsの脆弱性は、米国家安全保障局(NSA)が密かに開発したサイバー攻撃ツールを利用したものだったことだ。つまり、NSAから盗み出されたものだったのである。
こうして見ると、今回の攻撃は、技術的には目新しいものではなかったが、混沌とする世界情勢を映していることだけは確かだ。本格的なサイバー戦争の始まりを告げる動きではないか、との筆者の予感が的中しないことを祈りたい。
「2017年はOpenStack普及元年に」とIDCが予測
IDC Japanが2017年5月18日、オープンソースのクラウド基盤構築ソフトウェアである「OpenStack」について、国内企業の導入状況に関する調査結果を発表した。
それによると、「本番環境で使用している」という企業が10.6%となり、2016年調査の7.0%から3.6ポイント上昇。また、「開発/テスト/検証段階」との企業も14.4%となり、2016年調査の8.3%から6.1ポイント上昇した。この2つの回答を合わせると、全体の4分の1がOpenStackの実装を進めていることになる。(図1)
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IDC Japanはこの調査結果について、「これまでOpenStackに対する注目度は非常に高かったが、実際にはサービスプロバイダーをはじめとする一部の先進的な企業の導入にとどまっていた。しかし、2017年は2016年までの傾向とは明らかに異なっており、具体的な実装段階に入る企業が増えていくとみられる。2017年はOpenStackにとって普及元年になる可能性が高い」との見解を示した。
なお、同調査は、サーバ仮想化を実施している企業および組織を対象としたアンケート調査を2017年3月に実施し、464社から有効回答を得たという。
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