マイクロサービス、RPA、デジタルツイン、AMP……。数え切れないほどの新しい思想やアーキテクチャ、技術等々に関するIT用語が、生まれては消え、またときに息を吹き返しています。メディア露出が増えれば何となくわかっているような気になって、でも実はモヤッとしていて、美味しそうな圏外なようなキーワードたちの数々を、「それってウチに影響あるんだっけ?」という視点で、分解していきたいと思います。今回取り上げるのは、昨今ブームの様相を呈しているRPA(Robotic Process Automation)です。
【用語】RPA ホワイトカラーの事務をサポート
1日平均男性は8.9時間、女性は8.4時間。OECD(経済協力開発機構)による日本人の平均労働時間です。 そのうち今日あなたは、何分Excelに費やしたでしょうか? Wordは、メールソフトは..? PC操作がかなりの割合を占めると想像します。さてその何割が「生産的」でしょうか。
「生産性が低い」と揶揄される日本のホワイトカラーの救世主として、昨年あたりから急速に注目を集めるテクノロジーが、RPA(Robotic Process Automation)。名前からはPepperやAIBOでおなじみのロボットを連想させますが、その実態はソフトウェアです。私たちが日々PC上で行っている情報収集やデータ入力(コピー&ペーストを含む)、ExcelやAccessでの計算・分析、請求書や社内基幹システムへの転記、フィルタリングしたデータを使っての文書作成といった作業を覚え、反復作業を手伝ってくれます。
ロボットは主にものづくりの現場で物理的な作業を代替し、いわゆるブルーカラーの生産性向上に貢献してきました。これに対しRPAはホワイトカラーの事務処理を得意分野としていて、デジタルレイバー(Digital Labor)とも呼ばれています。
【イノベーション】 事務の効率化・高度化
RPAは、事務職が日々行う業務の「動作」を機械的に記録し、再現します。データ量が多い、作業の反復回数が多い、工数や利用するソフトウェアが多いといった定型事務で、特に効果が期待されます。
例えば、営業事務における電話・メール等での問い合わせ履歴管理、受注、伝票記入、顧客管理システムや在庫管理システム、SFAやERPへのデータ入力、そして顧客データのフィルタリングやチェック、VIP客へのDM発送など、誰でもできそうだけれど手間がかかる業務で本領発揮。人間と違い、ミスがなく、疲れたりサボったり見落としたりしないデジタルレイバーは、スピードアップと品質向上を両立します。
深層学習、AIの分析機能の組み合わせによって、いま人間が行っている方法を超える効率的な手順を考案し、自動実行することも可能になってきました。
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Windowsには従来、Windows PowerShellという機能が搭載されていて、コマンドプロンプトで設定しておけば、複数のアプリケーションにまたがる定型処理の自動実行が可能です。RPAが革新的なのは、そうしたプログラミングを不要にし、現場のオフィスワーカーが「やって見せる」事務処理を記録し、再現する点です。IT部門がユーザー部門の業務フローを洗い出して要件を定義し、機械処理可能なプログラムに転換していくといった従来のシステム導入と異なり、実際の処理を現場でプログラム化できます。
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