[経営者をその気にさせる―デジタル時代の基幹システム活用戦略]
ITやデジタル化が経営に貢献するということ 【第1回】
2017年8月23日(水)青柳 行浩(NTTデータ グローバルソリューションズ ビジネスイノベーション推進部 ビジネストランスフォーメーション室 室長)
企業の基幹システムとして最も利用されているSAPから従来のR3の後継として全く新しいS4HANAのリリースやデジタル化というブームの到来により、企業における基幹システムの今後の在り方やITの位置づけが混迷の様相を呈してきている。本連載では基幹システムとデジタル化の関係を明らかにし、今後の基幹システムをどのように考えていくべきかを検討していく。第1回目は、ITが企業の経営に貢献するか、米国でのデジタル化がどのように推進されているかを参照した上で日本の現状について考えてみたい。
イメージが先行する"デジタル化"
企業におけるITは攻めのIT、守りのITという大括りに分類され、攻めのITはデジタル化、守りのITは基幹システムになるらしい。攻めのITという心地よい語感が強調され、これからは攻めのITの時代だなどと言われることも多い。現状のIT部門は守りのITに徹して、攻めのITは別にデジタル部門を作るべきなどともいわれている。
・IT部門は、企業のデジタル化という観念において、中心的位置づけを担っているとはいえない。
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・IT部門に対する期待はIT(情報システム技術)のインフラが主となっているが、デジタル化に対して既存システムを追従できているとはいえない。
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デジタル化という言葉はイメージが先行しており、その中にはクラウド、ビッグデータ、AI、IOT、モバイルデバイス、ウェアラブルデバイス、ソーシャルメディア、RPA、様々なデジタル技術が含まれている。
経営者は得てして、巷に氾濫するこれらの用語を聞き、IT部門の担当者にこれらデジタル技術をうちの会社に活用できないかと聞いてくる。担当者は今までにないデジタル技術を自社に活用した場合にどんな成果を上げられるかを具体的にイメージできておらず、デジタル化に関する技術的な側面に関してのみ説明ができるというのが現状ではないだろうか。
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