日本マイクロソフトは2017年11月17日、都内で会見し、同社のオープンソース(OSS)戦略を説明した。Linux OSを始めとしたOSSのプラットフォームとして、クラウドサービスのMicrosoft Azureを使ってもらう意向である。Azure上で動作している仮想マシンの40%がLinuxであり、1年後には60%になっているとした。

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「あと1年(12カ月)もすれば、Azure上でOSSを使うユーザーが過半数を超える。日本マイクロソフトによってターニングポイントとなる」――。日本マイクロソフト クラウド&エンタープライズビジネス本部 業務執行役員 本部長の浅野智氏は、OSSが同社に起こす変化を、こう説明する。
2017年現在、Azureで動作する仮想マシンの40%をLinuxが占めている。しかしまだ、市場ニーズとのギャップは20ポイントあるという。浅野氏は、今後1年間をかけて20ポイント上げ、Linux利用率を60%超えにしたいという。60%が、デジタル変革を目指すユーザーを獲得するために必要な指標となるからである。
Linux利用率を60%にするための施策は3つある。試作の1つめは、デジタル変革に取り組むユーザー事例を増やすこと。日本マイクロソフトでは、デジタル革命に取り組むユーザーを支援するための専任部隊を20人体制で組織している。
施策の2つめは、OSSコミュニティに貢献すること。構築ナレッジをホワイトペーパー化して公開するほか、OSSの各領域でスペシャリストを育成する。現在、スペシャリストは50人ほどの体制であり、今後も増やす。
施策の3つめは、マーケティング活動に取り組むこと。Azure関連のイベントやセミナーは年間400回を数え、このうちの半分にあたる年間200回以上は、OSSに関係したものとなっている。
OSSで開発・実行するためのプラットフォームを提供、OSS需要に応える
そもそも、なぜ日本マイクロソフトはOSSに注力するのか。浅野氏は、「デジタル革命を担う開発者はみなOSSで仕事をしている。OSSを使わないことに意固地になっていてはユーザーに価値を提供することはできない」と現状を俯瞰する。こうして日本マイクロソフトでは、AzureをOSSのプラットフォームとして定義した。
AzureのPaaSサービスで提供しているOSSは増えている。例えば、RDBMS(リレーショナルデータベース)では、MySQLとPostgreSQLのほかに、MySQLのカスタマイズ版であるMariaDBを追加した。NoSQLのAzure Cosmos DBでは、MongoDBに加えてCassandraを使えるようにした。データ分析では、Azure HDInsight(Hadoop)のほかにAzure Databricks(Spark)を追加した。

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