富士通は2018年2月20日、流通業に向けて、「倉庫作業員のパフォーマンスを分析する」といった新たなデータ活用を実現するクラウド型のIoT活用サービス基盤「FUJITSU IoT Solution SMAVIA(スマーヴィア)」を発表、同日販売を開始した。2018年3月2日から提供する。基盤サービスの価格(税別)は、月額55万円から。販売目標は、2020年度までに関連ビジネスで累計売上200億円。
富士通の「FUJITSU IoT Solution SMAVIA(スマーヴィア)」は、販売管理データや在庫管理データ、輸配送データといった、流通業界のサプライチェーンの各箇所で蓄積したデータと、作業員の位置情報やバイタルなどのIoTセンシングデータを組み合わせて分析するIoTデータ分析基盤である。データの収集・分析基盤をクラウドサービスとして提供する。
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SMAVIAを使うことによって、例えば、倉庫作業員のパフォーマンスなどが分かる。販売や在庫の状況、物流コスト、人の作業効率などを組み合わせて分析することによって、流通業界で課題となっている人手不足や売上の最大化に向けた改善施策を立案できるようになるとしている。
複数の製品・サービスで構成する。まず、基盤サービスとして、流通業界の様々な業務システムデータや現場センシングデータを収集・蓄積し、これらを組み合わせて独自のアルゴリズムによって解析や予測などを行うAPIを提供する「FUJITSU IoT Solution SMAVIA プラットフォーム」を提供する。
個々の業務シーンに合わせたデータ活用パッケージ
SMAVIAプラットフォームを活用してユーザー固有のシステムを構築するサービスも提供するが、SMAVIAプラットフォームに蓄積したデータを活用する応用サービスとして、あらかじめ業務シーンを想定したパッケージ型のデータ利活用サービスを用意する。
データ利活用サービスとして今回は、「FUJITSU IoT Solution SMAVIA 倉庫作業員パフォーマンス」(2018年3月2日に提供、価格は作業員1人あたり月額3000円)、「同店舗在庫探索アシスト」(2018年3月末に提供、価格は個別見積もり)、「同質問回答アシスト」(2018年3月末に提供、価格は個別見積もり)、の3種類を発表した。2018年度中に、データ活用サービスを13種類まで拡充する。
今回提供するデータ活用サービス3種の概要は、以下の通り。
FUJITSU IoT Solution SMAVIA 倉庫作業員パフォーマンス
FUJITSU IoT Solution SMAVIA 倉庫作業員パフォーマンスは、作業員のスキルの平準化や生産性向上を図ることができる。
ユーザーの業務システムで管理している業務指示データや実績データと、富士通が提供するロケーションバッジやバイタルセンシングバンドなどのセンサーで取得した現場センシングデータを、SMAVIA プラットフォームに収集し、倉庫作業員ごとの作業時間や移動距離、動線を可視化する。
さらに、これらのデータをもとに、作業効率の平均値を算出し、その数値と比較した各作業員の改善ポイントを洗い出す。これにより、作業員のスキルの平準化や生産性向上を図る。
FUJITSU IoT Solution SMAVIA 店舗在庫探索アシスト
FUJITSU IoT Solution SMAVIA 店舗在庫探索アシストは、店舗の在庫を瞬時に把握できるようにする。
在庫品の出し入れの際に、商品に付けたRFIDタグをハンディターミナルで読み取り、店頭とバックヤードのどちらに商品があるかの所在情報を付与する。これらのRFIDデータと、在庫システムやPOSシステムのデータを、SMAVIA プラットフォーム上で組み合わせて管理する。
これにより店員は、店舗の最新の在庫状況と商品の所在を、スマートフォンやタブレット端末から瞬時に把握できる。また、店員がハンディターミナルを持って探している商品に近づくと、ハンディターミナルがRFIDを読み取って音を発するため、商品を探す時間を短縮できる。
FUJITSU IoT Solution SMAVIA 質問回答アシスト
FUJITSU IoT Solution SMAVIA 質問回答アシストは、顧客からの問い合わせ対応を支援するため、店員向けのAIチャットボットを提供する。店員は、AIチャットボットとテキストで会話をすることによって、顧客からの問い合わせに対してスムーズに回答できるようになる。
例えば、店員がスマートフォンから問い合わせ内容を入力すると、AIチャットボットが系列の他店舗も含めたFAQデータの中から問い合わせへの的確な回答を自動で抽出する。これにより店員は、通常であれば即時に回答できない問い合わせに対してもスムーズに回答できる。
さらに、SMAVIAプラットフォームに蓄積した日々の問い合わせデータを機械学習させることで、顧客の関心や売れ筋商品の予測、店舗ごとに異なる顧客の傾向を分析できる。これを、店頭ラインナップの企画などに活用できる。