EMCジャパンとデルは2018年5月31日、NVMe接続のフラッシュストレージを搭載して性能を高めたストレージ新製品「Dell EMC PowerMax」を発表した。同社のラインアップの中で最も高速なストレージとなる。機械学習によってデータの配置場所を決める機能も搭載した。2019年にはさらに、現在採用しているNANDフラッシュよりも高速なストレージ(「3D XPoint」を予定)をリリースする。価格(税別)は、3800万円から。
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Dell EMC PowerMaxは、同社のSANストレージのラインアップの中で最も高速なストレージである。何よりも性能の高さを追求した“ティア0”(最上位階層)のストレージ装置という位置付けになる。最大で1秒あたり1000万回のI/O処理が可能で、転送速度は1秒あたり150Gバイト。性能密度も既存製品よりも高く、1Uラックマウント換算で1秒あたり12万5000回のI/O処理ができる。
特徴は2つある。1つは、SASプロトコルではなくNVM Express(NVMe)プロトコルを使ってフラッシュストレージを接続していることである。NVMe接続の物理インタフェースにはPCI Expressを使っている。SAS接続とは異なり、コントローラのオーバーヘッドがなくなるため、個々のフラッシュフトレージに対して高速にアクセスできる。フラッシュストレージのフォームファクタは通常の2.5インチタイプである。
2019年には、現行のNANDフラッシュストレージ(2.5インチタイプ)に加えて、NANDフラッシュよりも高速なストレージ技術の1つであるSCM(ストレージクラスメモリー)をリリースする。PCI ExpressとNVMeを介してSCMを利用する形になる。いまのところ、米Intelの3D XPoint(2.5インチタイプ)を採用する予定である。
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特徴の2つめは、データを自律的に最適配置する手法として、機械学習を採用したことである。学習済みの判定モデルを最初から搭載しているほか、ユーザーがストレージを利用している最中にも、新たなデータを使って学習する。
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例えば、SCMとNANDフラッシュを混在させた使い方において、よくアクセスするデータや、性能を要求するアプリケーションのデータについては高速なSCMに配置し、そうでないデータについては安価なNANDフラッシュに配置するといったことができる。また、データの配置場所だけでなく、データ圧縮や重複排除をかけるかどうかなどについても自律的に判断する。
ストレージ側でアプリケーション別のQoS(優先制御)を行えるようにする仕掛けも用意した。サーバーからストレージにアクセスする経路に「PowerPath」と呼ぶソフトウェアを置くことで、アプリケーションを検知・識別して、ストレージで処理できるようにタグを付ける。これにより、アプリケーションに応じてレスポンス時間を使い分けられる。
Dell EMC PowerMaxは、きょう体2台まで拡張できる下位版の「PowerMax 2000」と、きょう体8台まで拡張できる上位版の「PowerMax 8000」の2つのモデルで構成する。PowerMax 2000は、性能が最大170万I/O毎秒で、容量が最大1ペタバイト。PowerMax 8000は、性能が最大1000万I/O毎秒で、容量が最大4ペタバイト。Dell EMC PowerMaxの価格(税別)は、3800万円から。