[調査・レポート]

国内企業の57%が「2018年のIT投資額は前年と変わらず」と回答―IDCのIT投資動向調査

2018年8月13日(月)IT Leaders編集部

IT市場調査会社のIDC Japanは2018年8月9日、国内企業のCIOや情報システム部門長またはそれに準じる立場のマネジャーを対象に実施した、国内企業のIT投資動向に関する調査の結果を発表した。国内企業の57%が「2018年のIT投資額は前年と変わらない」と回答しているが、大企業では「増加」とした企業が46%に上ったという。

 IDC Japanの調査によると、2018年度の国内企業におけるIT支出計画は、全体では前年度比で「変わらない」とする企業が57%を占めているという結果になった。企業規模の内訳を見ると、大企業(従業員数1000人以上)と中堅企業(同100~999人)では「変わらない」とした企業の割合が5割未満で、「増加」が大企業では46%、中堅企業では36%と、ともに「減少」を上回っている。

 IDCはこの結果から、労働人口減少や人材不足を背景として、大企業/中堅企業を中心に、ITを積極的に活用することで業務の効率化や働き方改革に取り組む動きが強まっているとした。

 産業分野別では、通信/メディアと金融でIT予算の拡大傾向が強くなっているという。一方で、政府/公共は、「増加」が「減少」を上回るものの、「減少」の割合が3割近くに達し、IT予算を拡大する組織と縮小する組織に二極化する傾向をIDCは指摘している。また、投資領域での目立った動きとして同社は、大企業では、パブリッククラウドサービスや外部データセンターサービスを利用した割合が3割を超えていることを挙げた。

 IDCは、国内企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進とIT投資の関係に言及している。同社によると、DXに取り組む国内企業は半数を超え、大企業を中心に、金融と情報サービスの両業界で取り組みが先行しているという(図1)。

図1:デジタルトランスフォーメーションの取り組み状況(出典:IDC Japan、2018年8月、一部データのみ抜粋)
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 同社の調査では、業務部門(ビジネス部門)が独自に管理するIT予算を持つ企業は、大企業ほど多く、9割を超えている。一方で、大企業については、「IT投資対効果の可視化」や「IT戦略策定/企画力の向上」が課題とする企業が多く、外部パートナーのサービスを幅広く必要とする傾向も強くなっているとした。

 国内ITサービス市場については、IDCの言う「第2のプラットフォーム」(クライアント/サーバー型のコンピューティングモデル)向けのITサービス支出の減少により、徐々に成長率が低下していくという。

 IDCは、クラウドを中心とした「第3のプラットフォーム」向けITサービス支出が市場全体の成長を牽引するものの、業務部門がプロジェクトを主導し、従来システムとの連携が十分に考慮されていないケースも少なくないと指摘。このような状況において、「ITサプライヤーは、企業のDXパートナーとして、IT部門と業務部門をつなぐ役割を担い、企業全体のIT戦略を包括的に支援すべきである」(IDC Japan ITサービス リサーチマネージャーの木村聡宏氏)と分析している。

 今回の発表はIDCが発行したレポート「2018年 国内CIO調査:ITサービス/アウトソーシング利用実態」(JPJ42857518)でその詳細が報告されている。

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