日本オラクルは2018年12月3日、説明会を開き、運用管理やチューニングを自律型で実行できるクラウド型のデータベース環境「Oracle Autonomous Database Cloud」について現況を説明した。2018年3月に開始したDWH(データウェアハウス)用途の「Autonomous Dara Warehouse」と、2018年8月に開始したトランザクション処理用途の「Autonomous Transaction Processing」がある。
Oracle Autonomous Database Cloudは、自律型で動作する運用管理機能を備えたデータベースサーバーである(関連記事:AI/機械学習でDBAのスキルセットが変わる―日本オラクルが「自律型データベースクラウド」をリリース、日本オラクル、自律型の運用管理を提供するクラウド型のデータベース環境)。データベースサーバー専用機のOracle ExaDataをベースに、新たに開発した自律型の運用管理機能を組み合わせて提供する。パブリッククラウドのOracle Cloudか、オンプレミスにOracle Cloud環境を構築して従量課金型で利用するOracle Cloud at Customer環境で利用できる。
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運用管理機能群は、システム監視データなどをもとに、自律的に判断して動作する(図1)。例えば、負荷に合わせて計算資源とストレージ資源を自動的に拡張できる。パッチの適用やセキュリティアップデートも自動化する。搭載しているデータベースソフト自身(Oracle Database 18c)も、チューニングを自動化している(関連記事:「自律・自動化がサイバーセキュリティ脅威への本質的解決策」―エリソン会長、“自律データベース”Oracle DB 18cを披露)。
運用管理を自律化したサービスとして、2018年3月にDWH(データウェアハウス)用途の「Autonomous Dara Warehouse」を、2018年8月にトランザクション処理用途の「Autonomous Transaction Processing」を開始している。いずれもOracle Exadataをベースにしているが、それぞれの用途に合わせてチューニングなどが異なっている。
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DWH用途のAutonomous Dara Warehouseは、チューニング不要で使えるデータ分析用のデータベースである。テーブルを設計してデータをロードするだけで利用できる。今後の機能強化点として、自動パーティショニングによるローリングウィンドウ操作(古いデータを消去して新しいデータをロードする操作)の管理や、最小/最大CPU設定による計算資源の自動拡張機能などを利用できるようにする。
トランザクション処理用途のAutonomous Transaction Processingは、トランザクション処理およびデータ分析とトランザクション処理の混合ワークロードに向いたデータベースである。CPU数とストレージ量を設定するだけでデータベース環境を構築できる。チューニングは手動または自動を選べる。今後の機能強化点として、Exadataをユーザー企業1社で専有し、他社の環境と分離できるようにする。また、Oracle Cloudをオンプレミスに配備するOracle Cloud at Customer環境で利用できるようにする。99.995%(1カ月に2.5分未満)のSLAも追加する。
米Oracleでデータベース・サーバー技術担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのAndrew Mendelsohn(アンドリュー・メンデルソン)氏(写真1)は、CIOから見たAutonomous Database Cloudのメリットとして、管理者なしで自己稼働できることから管理コストが不要になること、パッチを適用していないデータベースに対するサイバー攻撃を回避できること、パッチ適用などの計画停止を含めて月に2.5分未満の停止時間で済むこと、などを挙げる。