[新製品・サービス]
AI/機械学習でDBAのスキルセットが変わる―日本オラクルが「自律型データベースクラウド」をリリース
2018年4月20日(金)河原 潤(IT Leaders編集部)
日本オラクルは2018年4月19日、自律型データベースクラウドサービス「Oracle Autonomous Database Cloud」の最初の製品として、「Oracle Autonomous Data Warehouse Cloud」の提供を開始した。3月下旬に米国で提供が始まった新サービスだが、1カ月以内に国内ユーザーも日本円のライセンス体系で契約・利用できるようになった。本稿では特徴と主要な機能、ユーザー企業にとってのメリットを見ていく。
「Oracle Autonomous Database Cloud」は、米オラクルが2017年10月開催のOracle OpenWorldで、トップのラリー・エリソン氏みずからが発表した「業界初の自律型データベースクラウド」である(参考記事:エリソン会長、“自律データベース”を披露)。
特徴はもちろんサービス名称の自律性(Autonomous)にあり、マシンラーニング(機械学習)技術によって、以下のデータベースの自動管理、自動保護、自動修復の3つを実現するという触れ込みだ。
●自動管理(Self-managing):データベースのプロビジョニング、保護、モニタリング、バックアップ、復旧、トラブルシューティング、チューニングに人手を介さず、人的エラーを解消。ダウンタイムなしで自動的にアップグレードやパッチを適用する。
●自動保護(Self-securing):社内外の攻撃・窃取などからデータを保護。ダウンタイムなしでセキュリティパッチを自動適用し、全データを自動的に暗号化する。
●自動修復(Self-repairing):あらゆる計画的/非計画的ダウンタイムからの自動的な保護。最大99.995%のSLAを実現し、計画メンテナンスを含む1か月あたりのダウンタイムは2分30秒分以内に抑える。
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データベース運用管理における自動と自律の違い
上述した3つの「自動」が謳われているので、少々ややこしいのだが、オラクルはこの分野での自律と自動(Automated)を明確に区別している。以下は、日本オラクル クラウド・テクノロジー事業統括 Cloud Platformビジネス推進本部長の佐藤裕之氏による説明だ。
データベースの自動化では、ユーザー企業のデータベース管理者(DBA)による管理を伴い、インスタンスのプロビジョニングや拡張、セキュリティバッチ、フェールオーバーなどでDBA自身の意思決定が求められ、システム障害のような何か起きたときの対応を必須で強いられる。
一方、データベースの自律化では、DBAはポリシーの設定のみを行って、後は機械学習による自律的での動作を可能にしたOracle Autonomous Database Cloudに委ねることになる。ポリシーに沿って上述したようなタスクやトラブル時の復旧などでもDBAが手を煩わせることはないという。佐藤氏はこう説明する。
「データベースの自律化によってDBAは、これまで多くの時間を費やしてきた種々のタスクから解放され、よりイノベーションなタスクに集中できるようになる。また人手の作業でつきものだったエラーも削減される」
DBのマシンラーニング適用部分と自律・自動化される業務
Autonomous Database Cloudのコンポーネント構成は図1のようになる。「Oracle Database 18c」は、オラクルの旗艦製品であるOracle Databaseの最新バージョンで、同社の統合インフラ製品「Oracle Exadata」の中に構築される。この18cとExadataのセットが同社のIaaS「Oracle Cloud Infrastructure」上で稼働し、マシンラーニングによるポリシーベース自動化が加わる。これでAutonomous Database Cloudというサービスになる。
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マシンラーニングによるポリシーベース自動化プロセスで、取り扱うデータのクレンジングや分類が行われる。オラクルは詳細を非公表としたが、同社のデータサイエンティストやデータベース専門家、エンジニアらの直接的なインプットも含め、相当な時間をかけて蓄積されたデータベース運用管理の情報やナレッジを学習させるようである。そこで生成された分析モデルに基づいて各種の処理がリアルタイムで自動実行される仕組みだ(図2)。
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図3は、Autonomous Database Cloudによって自動化される管理業務の例だ。「システム構成・定常運用業務やスケールの自動化といったタスクについては、既存のフルマネージドサービスでも対応が可能だが、Autonomous Database Cloudはここにあるすべてのタスクについてカバーすることができる」と佐藤氏。ユーザー企業が実際に受ける恩恵を説明するのに、カバー範囲の広いフルマネージドサービスという表現があてはまるという。
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