ガートナー ジャパンは2019年2月26日、日本企業の業務アプリケーションの構築・運用に関する2019年の展望として5つの予測を発表した。基幹系業務システムの構築・運用実態や情報システムのアジリティ(俊敏性)の向上に焦点を当て、今後3~5年間で企業の顧客戦略に大きな影響をもたらす動向に注目している。
ガートナー ジャパンは、日本企業の業務アプリケーションの構築・運用に関する2019年の展望として、以下の5つの予測を発表した。
- 2023年を迎えてもなお、日本の大企業における基幹系業務システムの80%が商用のリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)を使い、オンプレミスで運用し続ける
- 2022年末まで、臨機応変なデータ分析を行う上で最も利用される分析ツールはMicrosoft Excelであり続ける
- 2022年にかけて、SAP S/4HANAに精通した人材の不足が続き、大規模プロジェクトの過半数ではパートナー候補の1社以上から提案を辞退される
- 2022年までに、大企業の80%が革新レイヤのアプリケーション開発にアジャイル型開発を採用するが、差別化・記録レイヤのアプリケーションにまでアジャイル型開発を採用し、定着させる大企業は10%に満たない
- 2022年まで、日本企業の6割程度が、既存アプリケーションのアジリティの向上を目指してAPI化による改修を試みるが、目標を達成できる企業はそのうちの1割にも満たない
80%が商用RDBMSを採用し続け、オンプレミスで運用する
予測1では、2023年を迎えてもなお、日本の大企業における基幹系システムの80%が商用のRDBMSを採用し、オンプレミスで運用し続けると予測している。
ガートナーが日本企業に対して行っている調査からは、ERP、その中でも汎用化しやすい業務を除いた基幹系システムについては、クラウドの採用が進んでいない。同様のことが、基幹系システムで使っているRDBMSにも当てはまる。
「ライセンスや保守にかかる費用を主な理由として、データベース管理システムを商用からオープンソースに変更したいと考える企業は多い。しかし、移行にかかる費用や障害発生時の対応に関するリスクを考えると、実施できない。こうした企業が圧倒的多数を占める」(同社)。
ダッシュボード外のデータ分析ツールはExcelであり続ける
予測2では、2022年末まで、臨機応変なデータ分析を行う上で最も利用される分析ツールはMicrosoft Excel(画面1)であり続けると予測している。
「従来型のビジネスインテリジェンス(BI)では、IT部門がユーザーの要望に合わせてデータを準備し、レポートやダッシュボードを提供するというアプローチを取ってきた。日々の業務で必ず確認すべきデータは、このようなBIによる恩恵を受けてきた」(同社)。
一方、当初の業務要件から外れた切り口でデータを確認・分析する用途には、多くのユーザーがExcelを使ってきたと同社は指摘。「Excelを利用したデータ分析は、手軽に始められる一方で、ミスが発生した場合の発見が難しいなど、さまざまな弊害もある。これらの問題がテクノロジーの進化によって今後4年程度で解消されることはない。Excelを利用したビジネスユーザーによるデータ分析を今のまま放置すると、適正なビジネス推進が阻害される恐れがある」(同社)。
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