企画職の6割以上はアイデア出しに悩んでいる―TISと博報堂が共同開発した発想支援クラウドサービス「AIブレストスパーク」の正式版の提供が開始された。ビジネスモデルから商品企画、キャッチコピーまで、企画会議でのアイデア出しを支援する。TISが2019年7月1日に発表した。
[お詫びと訂正] 記事本文に誤記がありました。お詫びして以下に訂正します(2019/7/3 19:50)
誤:AIブレストパーク → 正:AIブレストスパーク
TISと博報堂が行った調査によると、企画会議で斬新なアイデアを求められることが増えたと答えた人は56.6%、アイデアの量を求められている人が43.7%、質を求められている人が73.2%だった。
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このように、会社からはアイデアの質と量を求められているなか、よいアイデアが出なくて困っている人が61.6%、アイデアの発想はだれも教えてくれなかったという人が57.1%いることがわかった。
働き方改革により就業時間が短くなった関係で、チームでアイデア出しのブレインストーミングを行うチームブレストを行う機会が減り、業務時間外に1人でブレストを実施する「1人ブレスト」を行う企画担当者が増えているという。
AIブレストスパークは、これまでITシステムが十分に支援できていなかった創造領域の効率化を目指して開発されたもの。コピーライター、デザイナーといったクリエイターが集う博報堂の打ち合わせ現場で実践されているコツをシステム化した。博報堂のクリエイターが最初に身に付ける発想支援メソッドをもとにTISの自然言語処理・機械学習などのAI関連技術を組み合わせている。
6月に公開したβ版では「ひらめきマップ」「ブレストアイデア」「ノート」の3機能を先行提供している。
ひらめきマップは、キーワードを指定すると、それに共起する関連語をインターネットから選び出し、瞬時に表示する。関連用語のさらに関連用語などキーワードを掘り下げて枝葉状に5枝3階層に表示していくので、人力では不可能なレベルの、一見無関連なキーワードにたどりつくこともある。これら大量のキーワードに触れることが、ひらめきの土台になるという。
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ブレストアイデアは、例えばキーワードとひらめきマップで出た用語をランダムに接着させ、予想外の切り口を発見する。博報堂クリエイティブセンター エグゼクティブクリエイティブディレクターの八幡功一氏によると、「新機軸のサービスや製品の多くが、一見関連性のなさそうな言葉や物の接着から生まれている」という。接着用語は無数に出てくるので、良いキーワードが出てくるまで探し続けることができる。
ノートは、ひらめきマップやブレストアイデアで出てきた用語で、気になったものを整理するスペース。ひらめきマップやブレストアイデアでは、気になった用語をその場でドラッグして保存することができる。保存している用語をノートで島分けして俯瞰すると、指向や偏りなど、その人の考え方の傾向が見えてくるという。
今回の正式版提供にあたって、「他人アタマで考える」「連続刺激モード」という2つの機能が加わった。
他人アタマで考えるは、作詞家、ビジネス、主婦など、自分と異なる立場の人だと、キーワードに対するネットワーク図がどのように出来上がるのかを確認できる機能。作詞家は歌の歌詞、ビジネスはビジネスサイト、主婦は主婦ブログなどに絞ってクローリングし、キーワードに関連したネットワーク図を作成する。
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連続刺激モードは、ブレストアイデアで生まれたキーワードやフレーズを、ひとつずつ画面に連続表示する。これが発想を刺激するのだという。「直感による判断が要請され、右脳的ジャンプを強制触発する」
価格は、1ユーザーあたり月額7500円(税別)、契約期間は3カ月、6カ月、12カ月の3種類。