[市場動向]

JCBと富士通、オンラインサービスのID情報を安全に流通させる基盤作りで共同研究を開始

2019年10月10日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)

ジェーシービー(JCB)と富士通は2019年10月10日、オンラインサービスのID情報をユーザーのコントロールの下で安全に流通できるようにするため、共同研究を開始すると発表した。ID情報の流通基盤を開発するとともに、複数のオンラインサービスに対して連絡先などの情報を一括して変更できるサービスなどを開発する。1年間の研究を経て、2020年度中の実用化を想定している。

 JCBと富士通は、オンラインサービスのユーザーID情報を、サービス事業者間で安全に流通・連携できる“自己主権型/分散型アイデンティティ”の基盤を共同で開発する(図1)。ユーザー自身がID情報の流通をコントロールできるようにする。この上でさらに、連絡先情報を一括で変更できるようにするなど、基盤を活用した新サービスやビジネスモデルを共同で開発する。

図1:オンラインサービスのユーザーID情報をサービス事業者間で安全に流通・連携できる基盤を開発する(出典:ジェーシービー、富士通)図1:オンラインサービスのユーザーID情報をサービス事業者間で安全に流通・連携できる基盤を開発する(出典:ジェーシービー、富士通)
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 サービス提供の背景として同社は、オンラインサービスの事業者が管理されている、オンラインサービスのユーザーID情報(氏名、住所、年齢、経歴など)を、サービス事業者間で連携・活用していくニーズの高まりを挙げる。「事業者間でのID情報の相互運用に向けて、ID情報のプライバシー保護などが課題となっている」(同社)。

 JCBは、JCBが持つ決済や認証の機能と、事業者間の資金精算などの運営スキームの知見を活用する。これにより、事業者が持つID情報を相互に連携させた新サービスやビジネスモデル、オペレーションモデルを開発する。

 富士通は、富士通研究所が開発したID情報の流通技術「IDYX(IDentitY eXchange)」や、富士通のブロックチェーン技術に関するシステム開発・運用の知見を活用する。これにより、“自己主権型/分散型アイデンティティ”基盤の構築を推進する。

 両社は2019年4月から9月まで、ID情報の流通に関する実証実験をJCB内で実施している。今回、この結果を踏まえて共同研究を開始する。共同研究の実施時期は、2019年10月10日から1年間。2020年度中の実用化を想定。サービス事業者各社をつないだエコシステムの実現を目指し、幅広く協業を進めていく。

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