NTTぷららは、映像配信サービス「ひかりTV」の映像コンテンツ全22億ファイルを、クラウドストレージの「Azure Blob Storage」からオンプレミス環境のストレージ「Dell EMC ECS」に移行した。これによりコストを削減した。2019年1月に移行を完了した。ストレージの新規購入コストとデータ移行コストは、移行後1年間で回収できるとしている。NTTぷららは、EMCジャパンが2019年11月1日に開催した記者発表会に登壇して自社の移行事例を紹介した。
NTTぷららの映像配信サービス「ひかりTV」は、約22億件の映像コンテンツを持つ。月間のべ視聴時間は、約8000万時間におよぶ。これを、CDN(コンテンツ配信ネットワーク)サービスを介してユーザーに届けている。
NTTぶららは2019年1月、映像コンテンツを保管しているオブジェクトストレージを、クラウドストレージのAzure Blob Storageからオンプレミス環境のDell EMC ECSシリーズに切り替えた(図1)。2018年9月にDell EMC ECSを導入後3カ月かけて、22億ファイルをクラウドからオンプレミスにネットワークを介して移行した。これにより、ストレージ利用コストを削減した。
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クラウドよりもオンブレミスの方が安い
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ストレージをクラウドからオンプレミスに切り替えた第1の狙いは、ストレージコストの削減である。NTTぷららの技術本部でネットワーク管理部マネージャーを務める大橋峰延氏(写真1)は、「ストレージ利用コストが下がることによって、ECSの新規導入コストとデータ移行コストを移行後1年間で回収できる」と説明する。
大橋氏は、3つの条件が揃っているなら、クラウドストレージよりもオンプレミスの方が安いと説明する。(1)ある程度の規模のデータがあり、今後のスケールの予測が付くこと、(2)アーカイブ目的ではなく、インターネットに出ていくトラフィックが多いこと、(3)今後3~5年はサービスの継続を考えていることである。
また、自社でストレージを保有することによるメリットとして、製品ベンダー(Dell EMC)のサポートによって、調査・復旧にかかる時間やコストを削減できる点を指摘する。NTTぷららは今回、東京と大阪の2拠点に「Dell EMC ECS U2800」を1セットずつ設置した。実効容量は、東京と大阪の合計で3ペタバイトである。
オンプレミスに導入するストレージ機器の選定にあたっては、Dell EMC ECSのほかに、米クラウディアン(Cloudian)の「CLOUDIAN HYPERSTORE」、米Scarityの「Scality RING」、オープンソースの「OpenStack Swift」、なども検討した。「オープンソースのSwiftは使うのが難しい。クラウディアンはSIベンダー経由のサポートとなるので、Dell EMCのようにベンダーから直接サポートを受けることができない」(大橋氏)といった理由でDell EMC ECSを選んだ。
保存容量200TB~3PBの新モデル「EX500」
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EMCジャパンが開催した説明会では、Dell EMC ECSシリーズの新モデル「ECS EX500」も発表した(写真2)。ストレージ容量は200TB~3PBで、既存のエントリーモデル「EX300」(60~240TB)と大容量モデル「EX3000」(2PB超)の間に位置するモデルになる。
EX500のベースとなるPCサーバー機は「Dell EMC PowerEdge R740XD2」で、2Uラックマウントの筐体に8TBまたは12TBのSATAハードディスクドライブを12本または24本搭載する。最小5ノード構成で、容量の追加は1ノード単位で行える。EX500の価格(税別)は、6350万円から。