IDC Japanは2019年11月7日、世界のセキュリティ関連ハードウェア、ソフトウェア、サービスの支出額に関する予測を発表した。2019年、セキュリティ関連ハードウェア、ソフトウェア、サービスに対する全世界の支出額は、前年比10.7%増の1066億ドルとなる見通し。支出額は2023年には1512億ドルに達し、2019年から2023年までの年間平均成長率(CAGR)は9.4%と予測している。米IDCが2019年10月16日に発表したプレスリリースをベースにIDC Japanが日本で発表した。
IDC Japanの調査によると、2019年にセキュリティ支出額が最も多い分野はサービスである。マネージドサービス、コンサルティングサービス、IT教育/トレーニングに470億ドル以上を費やす。サービスは、最も急速な支出成長が見込まれる分野でもある。5年間のCAGRは11.2%である。
2019年に支出額が2番目に大きい分野はソフトウェアである。エンドポイントセキュリティソフトウェア、アイデンティティ/デジタルトラストソフトウェア、およびセキュリティアナリティクス、インテリジェンス、レスポンス/オーケストレーションソフトウェアなどの製品に約380億ドルを費やす。2019年のハードウェア支出額は210億ドル以上であり、大部分がネットワークセキュリティ製品である。
業種別では、銀行、製造業、政府のセキュリティ支出が多い
2019年から2023年にかけて、セキュリティ分野の製品・サービスに対する支出額が最も多い業種は銀行であるという。次いで、組立製造業、連邦/中央政府の順となる。これら3つの業種を合わせると、全世界のセキュリティ総支出額の約30%を占める。
銀行、組立製造業、連邦/中央政府の3つの業種は、マネージドセキュリティサービスおよびインテグレーションサービスに、支出額のかなりの部分(35%以上)を充てるという。予測期間中、成長率が最も高い業種は、州/地方政府(12.5%のCAGR)、通信(11.9%のCAGR)、資源産業(11.0%のCAGR)である。
製品カテゴリー別では、マネージドサービスの支出が多い
技術カテゴリー別では、2019年に最大の支出を見込む分野は、マネージドセキュリティサービスであるという。24時間体制の監視とセキュリティオペレーションセンターの管理に、210億ドル以上を費やす見通し。
2019年、2番目に大きい技術カテゴリーは、ネットワークセキュリティハードウェアである。この分野には、ユニファイド脅威管理、ファイアウォール、侵入検知/防止テクノロジーを含んでいる。
3番目と4番目に大きい投資カテゴリーは、インテグレーションサービスとエンドポイントセキュリティソフトウェアである。予測期間中、最も高い成長率を見込む技術カテゴリーは、マネージドセキュリティサービス(13.9%のCAGR)、セキュリティアナリティクス、インテリジェンス、レスポンス/オーケストレーションソフトウェア(10.5%のCAGR)、コンサルティングサービス(9.3%のCAGR)である。
地域別では、米国、中国、英国、ドイツの順で支出が多い
地域別に見ると、セキュリティ分野の製品・サービスの最大の市場は米国である。2019年の支出額は462億ドルに達する。組立製造業と連邦政府の2つが、米国における総支出額の20%近くを占める。
2番目に大きい国別市場は中国である。省/地方政府、通信、銀行の3つが、中国における総支出額の47%を占める。その次にセキュリティ支出額が大きい市場は、英国およびドイツである。それぞれ、銀行および組立製造業がリードする見込み。
企業規模別では、大企業の支出が多い
2019年、セキュリティ関連の全支出額のうち約3分の2が、大手企業(従業員500~1000人)および超大手企業(従業員1000人以上)によるものである。大手企業と超大手企業は、予測期間中、最も高い成長率を見込めるセグメントでもある。CAGRは、大手企業は11.4%、超大手企業は9.6%である。
中規模企業(従業員100~499人)および小規模企業(従業員10~99人)による2019年のセキュリティ分野の製品・サービスへの支出額は、約270億ドルである。消費者によるセキュリティ製品・サービスへの今年の支出額は、58億ドル以上である。