[調査・レポート]

日本企業の7割が「AIに期待大」、顧客向けサービスへの導入は慎重だが広範囲に連携─Okta調査

2025年8月13日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)

Okta Japanは2025年8月13日、職場でのAI利用に関する年次調査「AI at Work 2025」の結果を発表した。日本企業は、AIの影響について「懸念よりも期待」している割合が70%と、グローバル平均の53%を上回った。顧客向け製品・サービスへのAI組み込みは他国より慎重だが、導入する場合の統合度を「広範囲」と回答した割合は調査対象国の中で最も高かった。

 米Oktaは2025年5月、職場でのAI利用に関する年次調査「AI at Work 2025」を、9カ国の企業経営幹部260人を対象に実施した。対象企業の規模は従業員数500人未満が26%、1万人以上の大企業が29%と、広範な層をカバーしている。

 調査によると、経営幹部の約66%がAIをビジネス戦略において「非常に重要」(43%) または「絶対に不可欠」(23%)と位置付けている。AI導入への意識が急速に高まっている。経営層による優先事項の上位は、「組織効率の最適化」(70%)、「タスク自動化による精度向上」(62%)、「セキュリティ・脅威検出の改善」(62%)だった(図1)。

図1:AIに関する経営幹部の優先事項(出典:Okta Japan)
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 一方、AIの「広範囲な」導入は、2024年の17%から28%に増加したものの、半数以上の企業が導入状況を依然として「中程度」と評価している。成功するAI導入の鍵としては、「高品質なデータを保証するためのプロセスとガードレール」(35%)を最も多く挙げており、「AIの明確なユースケースの定義」(30%)、「ガバナンスとセキュリティ」(26%)が続いた。

データプライバシーへの懸念が最上位

 経営幹部の最大の懸念事項は「データプライバシー」で、「セキュリティリスク」がこれに次いだ(図2)。この傾向は消費者の意識とも合致しており、Oktaが実施した別の調査では、世界の消費者の60%がAIがプライバシーとセキュリティに与える影響について「非常に懸念している」または「懸念している」と回答している。

図2:AIに関する経営幹部の主要な懸念事項(出典:Okta Japan)
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 AIをセキュリティ目的で活用する企業の割合は2024年の71%から65%にわずかに減少した一方、「AIはAIに対する最善の防御策である」という見方に強く賛同する企業は18%から41%へと大幅に増加した。

 AI導入時におけるアイデンティティとアクセス管理(IAM)の重要性を「非常に重要」と回答した割合は、2024年の46%から2025年には52%に上昇した。IAMが重要である理由のトップ3は、「データセキュリティとプライバシー」(36%)、「コンプライアンスと規制」(30%)、「アクセス管理とガバナンス」(26%)だった。

日本企業の7割はAIの影響に「懸念よりも期待」

 日本の経営幹部(調査中の20人が該当)は、「セキュリティ」をビジネス戦略において、調査対象の9カ国の中で最も高い戦略的優先度として位置付けている。AIがビジネス戦略にとって「絶対に不可欠」と考える割合も30%であり、インドの33%に次ぐ高水準だった。

 日常におけるAIの影響について、「懸念よりも期待」している割合が70%と、日本は調査対象国の中で最も高く、グローバル平均の53%を大きく上回る。また、顧客向け製品・サービスへのAI組み込みは他国より慎重な傾向があるが、導入する場合の統合度を「広範囲」と回答した割合は33%で、調査対象国の中で最も高かった。

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