名古屋大学情報基盤センターは、次期スーパーコンピュータシステムを富士通に発注した。富士通が理化学研究所と共同開発しているスーパーコンピュータ「富岳」の技術を活用した「FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC FX1000」を導入する。富士通によると、PRIMEHPC FX1000の導入事例は世界で初めて。2020年7月から稼働する。富士通が同年2月3日に発表した。
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名古屋大学の情報基盤センターは、全国の研究者や民間企業に提供しているスーパーコンピュータシステム(スパコン)を刷新する。富士通と理化学研究所が開発しているスパコン「富岳」の技術を活用した市販モデル「PRIMEHPC FX1000」(写真1)を2304ノード導入する。2020年7月から稼働開始。
PRIMEHPC FX1000×2304ノードを中核に、これ以外のシステム要素として、PCサーバー機「FUJITSU Server PRIMERGY CX2570 M5」×221台を並列に接続したクラスタシステムや、ストレージシステムなどで構成する。システム全体の理論演算性能の合計は、15.88PFLOPS(ペタフロップス)となる(表1)。
サーバーシステム [Type Iサブシステム] |
主な構成製品 | FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC FX1000 |
ラック数 | 6 | |
計算ノード数(CPU数) | 2304(2304) | |
理論演算性能 | 7.782PFLOPS | |
総主記憶容量 | 72TB | |
サーバーシステム [Type IIサブシステム] |
主な構成製品 | FUJITSU Server PRIMERGY CX2570 M5 |
計算ノード数(CPU数) | 221(442) | |
GPU数 | 884 | |
理論演算性能 | 7.489PFLOPS | |
総主記憶容量 | 82TB | |
サーバーシステム [Type IIIサブシステム] |
理論演算性能 | 77.41TFLOPS |
総主記憶容量 | 48TB | |
ストレージサブシステム [ホットストレージ] |
総実効容量 | 30PB |
ストレージサブシステム [コールドストレージ] |
総実効容量 | 6PB |
クラウドシステム | 理論演算性能 | 537.6TFLOPS |
なお、名古屋大学情報基盤センターは、学術利用のための計算資源を、全国の研究者や民間企業などのユーザーに提供している。現在は、今回導入するPRIMEHPC FX1000の前世代モデル「PRIMEHPC FX100」などで構成するスパコンを運用している。
今回、研究者からのさらに大規模な計算需要、およびデータサイエンスに代表されるスパコンへの新たな計算需要に応えるべく、システムの刷新を計画した。
新システムは、台風のメカニズムの解明や新薬の設計といった従来の数値計算シミュレーションに加えて、医学分野における診断治療支援技術や自動運転技術の開発におけるAI適用など、各種の研究・開発に利用する。