三菱重工業は、事業のデジタル化を推進する中、ITシステムの開発運用者チームにおいて、新たなコミュニケーション基盤として「Slack Enterprise Grid」を活用している。従来のメール中心から、Slackをハブとするコミュニケーションへと、スタイルやカルチャーの転換を目指した取り組みだ。ビデオ通話機能も活用しており、リモート会議の多くをSlackで実施している。Slack Japanが2020年3月26日に自社ブログで紹介した。
三菱重工業は、ITシステムの開発運用者チームにおいて、Slack Japanが提供するクラウド型のコミュニケーションサービス「Slack Enterprise Grid」を活用している(図1)。
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三菱重工が提供する製品には、製品寿命が20~30年にわたるものがあり、販売後のアフターサービス段階が重要である。一方、サービスの現場はデジタル化の途上にある。問い合わせに対し、担当者から担当者へのバケツリレーで処理することがある。パーツやサービスマンの依頼に対し、納期や作業日を即答できないことがある。
こうした課題を解決するべく、顧客接点となるカスタマーポータルを立ち上げ、顧客データを管理するCRMシステムなどと連携させ、これらの背後でユーザー認証基盤などを整備している。こうした中、開発運用者チームで使い始めたのがSlack Enterprise Gridである。
メール主体のコミュニケーションがSlackへと変化
Slack Enterprise Gridの導入によって、開発運用チームのコミュニケーションに変化が生まれた。従来はメール中心だったが、Slackがすべてのコミュニケーションのハブとして機能するようになった。また、Slackのビデオ通話機能もよく使われており、現在では多くのリモート会議をSlackで開催している。
三菱重工業は以前、チャットを主体としたコミュニケーションツールとして、Microsoft TeamsやSalesforce Chatterを使っていた。しかし、まったく利用しなくなった。例えば、Teamsの場合、会社のセキュリティポリシーの都合で、社外の開発パートナーが参加できなかった。ほかにも、各システムとの連携を考えると、Slackが一番使いやすいという結論になった。
さらに、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大を受けて、2020年2月に全社員に対して在宅勤務を推奨した際には、方針を通知してから対応まで2~3時間で作業が終わった。開発基盤がクラウド上に用意してあったことも要因の1つだが、Slackという新たなコミュニケーションハブによって、素早く対応が進んだという。
今後は、Slackのユーザー管理を仕組み化する予定である。ユーザーと権限をデータベース化し、認証基盤やSlackのユーザー管理機能と同期させる。これにより、「いなくなって使われていないユーザーの権限がシステム上に残っている」といった問題を回避する。
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