[市場動向]
理研・富士通のスパコン「富岳」が性能ランキングTOP500で1位
2020年6月23日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)
理化学研究所と富士通は2020年6月23日、共同で開発しているスーパーコンピュータ「富岳」が、スーパーコンピュータの性能ランキングの1つである「TOP500」(2020年6月の最新ランキング、第58回)において世界1位を獲得したと発表した。LINPACKベンチマークで415.53PFLOPS(毎秒41京5530兆回)を達成した。日本のスーパーコンピュータがTOP500で第1位を獲得するのは、富岳の前期種である「京」による2011年11月(第38回TOP500リスト)以来となる。
スーパーコンピュータの性能ランキングの1つで、LINPACKベンチマークのTOP500を競う「TOP500」の最新版(2020年6月22日発表)において、富岳(写真1)は世界第1位となる415.53PFLOPS(ペタフロップス、毎秒41京5530兆回)を達成した(画面1)。世界2位のIBM Summit(148.60PFLOPS)と比べて約2.8倍の値となる。今回リストに登録した富岳のシステムは396筐体(15万2064ノード)で全体の約95.6%の構成である。
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日本のスーパーコンピュータがTOP500で1位を獲得するのは、富岳の前世代スパコンである「京」による2011年11月(第38回TOP500リスト)以来となる。
産業利用など用途が異なる4つの性能ランキングで1位
富岳はさらに、「HPCG」「HPL-AI」「Graph500」の3つの性能ランキングでも世界1位を獲得した。
HPCGは、産業利用など実際のアプリケーションでよく用いられる共役勾配法の処理速度の国際的なランキングである。HPCGの測定には富岳の360筐体(13万8240ノード、全体の約87%)を用い、1万3400TFLOPSを達成した。第2位のIBM Summit(2925.75TFLOPS)と比べて約4.6倍の値となる。
HPL-AIは、ディープラーニング(深層学習)で主に用いられる単精度や半精度演算処理に関する性能ベンチマークである。測定には、富岳が持つ330筐体(12万6720ノード、全体の約79.7%)を用いて1.421EFLOPS(エクサフロップス)を記録した。世界で初めてHPL系ベンチマークで1エクサ(10の18乗)を達成した。
Graph500は、大規模グラフ解析に関するスーパーコンピュータの国際的な性能ランキングである。測定には、富岳の一部である9万2160ノード(全体の約58%)を用いて、約1.1兆個の頂点と17.6兆個の枝から構成される超大規模グラフに対する幅優先探索問題を平均0.25秒で解いた。7万980GTEPS(ギガテップス)を記録した。第2位をとった中国のSunway TaihuLight(2万3756GTEPS)と比べて約3倍の値となる。
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