IDC Japanは2020年7月6日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の最新状況を考慮した国内IT市場予測のアップデートを発表した。2020年の国内IT市場(支出額ベース)は、前年比5.3%減で、27兆5927億円と予測している。IDC Japanが2020年5月7日付で発表した2020年のIT市場成長率から0.8ポイント改善している。
IDC Japanは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の最新状況を考慮し、国内IT市場の予測をアップデートした(図1)。2020年の国内IT市場(支出額ベース)は、前年比5.3%減で、27兆5927億円となる。IDC Japanが2020年5月7日付で発表した2020年のIT市場成長率から0.8ポイント改善した。
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製品セグメントごとの前年比市場成長率は、スマートフォン/PC/タブレットなどの「Devices」(デバイス)がマイナス20.8%(前回予測比3.5ポイント増)、サーバー/ストレージ/IaaS/ネットワークなどの「Infrastructure」(インフラ)がマイナス2.9%(同1.0ポイント増)、「Software」(ソフトウェア)がマイナス0.8%(同1.4ポイント減)、「IT Services」(ITサービス)がマイナス3.0%(同0.2ポイント減)、「Telecom Services」(通信サービス)がマイナス0.5%(同0.7ポイント増)となる。
DevicesとInfrastructureのハードウェア市場は、サプライチェーンの混乱が2020年4月の予測時点から改善しつつある点や、GIGAスクールやテレワークの進展にともなうPCやタブレットの需要回復が進んでいることから、前回の予測から改善した。Softwareは、クラウドサービスは堅調ではあるものの、オンプレミス中心のプロジェクトの延期/中止がさらに進んでおり、前回よりも下方修正している。IT Servicesは、プロジェクトにあまり依存しないマネージドサービスを提供することから、COVID-19の影響は引き続き軽微である。Telecom Servicesは、テレワークの進展によって、前回の予測から改善した。
2021年に向けては、グローバルなサプライチェーンの回復にともない、Devices市場やInfrastructureなどのハードウェア市場を中心に堅調に回復する。
上記の予測は、一部の先進企業を中心にデジタル変革への投資が活性化し、景気対策の一環として政府によるIT投資が選択的に行われることを前提に作成しているという。
今後の状況次第では、危機管理、働き方改革、社会保障や行政のデジタル化などのニーズから、企業、政府、消費者レベルでDX投資が活性化されるというIT市場にとってのOptimistic(楽観的)シナリオも想定している。この場合の2020年における前年比成長率はマイナス4.1%程度に収まる。
一方、2020年には世界主要地域全般レベルでの感染の抑制と経済活動の正常化が実現せず、感染の収束と経済の回復が2021年中盤以降に持ち越されるというPessimistic(悲観的)シナリオでは、前年比成長率はマイナス9.5%まで落ち込む。今後の状況次第では、さらなる成長率低下の可能性もある。
今回の予測は、IDC Japanが発行したデータベース「Worldwide Black Book Live Edition 2020 | June (V2 2020) Release」で詳細を報告している。本データベースでは、COVID-19の最新状況を踏まえ、2020年6月末時点におけるIDC Japanの最新のマクロ経済予測を基に、2019年までの実績および2020年~2024年の予測を提供している。