アイ・ティ・アール(ITR)は2020年8月18日、国内におけるWeb会議システムの市場規模の推移と予測を発表した。2019年度のWeb会議システム製品市場は、需要の急増によって前年度比22.8%増の高成長を達成した。テレワークの浸透にともなうWeb会議の定着により、2023年度には市場規模は3倍になると予測している。
アイ・ティ・アール(ITR)によると、Web会議システム製品市場の2019年度の売上金額は111億4000万円、前年度比22.8%の大幅増となった(図1)。市場に影響力のある上位ベンダーを含め、市場を構成するほとんどのベンダーが大きく売上げを伸ばしたことが要因になっている。
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多拠点化の進展やテレワークの推進をトリガーとしてWeb会議の需要が年々高まっているうえに、特に新型コロナウイルス感染症対策の主要な手段として、2019年度末から爆発的に導入が進んでいる。また、ウェビナーや大規模イベントなど、不特定多数に対する情報提供の手段としての導入も進みつつある。
コロナ禍の収束や対策意識の低下による一定数の解約が想定されることに加え、一部ベンダーの撤退により淘汰が進みつつあるなど、市場の成長を阻害する要因はある。しかし、急激な導入数の増加や急速な認知度の向上に対しては、その影響は限定的であると考えられると、ITRは述べている。
これらのことから、同市場のCAGR(2019~2024年度)は26.7%の高成長、2023年度には2019年度の3倍の市場規模になると、ITRは予測している。
「Web会議は、在宅勤務の拡大によって最も注目が集まったITサービスの1つ。とりわけ、一般消費者に人気が高いZOOMは、通信品質と使い勝手の高さが評価を得ており、法人市場でも売上げを大きく増やした。一方で、急激な需要の拡大により、ベンダー各社はインフラ増強や機能拡張のプレッシャーにさらされている」(ITR)