矢野経済研究所は2020年9月7日、国内のERP(統合基幹業務システム)ソフトウェア市場を調査した。2019年のクラウド利用率(IaaS/PaaS利用とSaaS利用の合計)は38.3%まで拡大した。2021年にはクラウドの利用率がオンプレミスを上回り、63.5%になると予測している。
矢野経済研究所は、国内のERP(統合基幹業務システム)ソフトウェア市場を調査した。ERPパッケージソフトウェアベンダーを対象に2020年6月~8月に調査した。矢野経済研究所の研究員による直接面談と電話・文献調査を併用した。
2019年のクラウド利用率(IaaS/PaaS利用とSaaS利用の合計)は、38.3%まで拡大した(図1)。これまでも順調にクラウド化が進んでいたが、コロナ禍においてさらに加速すると矢野経済研究所は見る。非対面が推奨され、モバイルワークの利用率が高い状況においては、クラウドの利便性が高い。
今後のERP製品は、ユーザ企業の経理や人事担当者がテレワークをしながら利用できること、ベンダーがメンテナンスや不具合対応をリモートで行えること、なども重視するようになる。クラウド型のERPを優先して選択する傾向が強まる。2021年には、クラウドの利用率がオンプレミスを上回り、63.5%になる。
なお、2019年のERPパッケージ市場の規模は、最終的にユーザー企業に渡す価格ベースで、前年比7.0%増の1198億3000万円だった。2019年は、2018年の伸び率(4.4%増)を上回る成長を遂げた。
2019年の市場拡大は、デジタル変革が後押しした。「ビジネスの変革やデジタル化の推進にともない経営基盤を見直す」、「レガシーな情報システムを刷新する」という双方の意味でERPのリプレースが進んだ。
2020年以降は、新型コロナウイルス感染症による影響があるものの、2020年8月時点では上期(1~6月)までのERPパッケージベンダー事業への影響は軽微である。2020年通年でも1241億6000万円で、前年比3.6%増とプラス成長を維持する見通し。