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[調査・レポート]

電子契約サービス市場規模は2020年に100億円超に成長─矢野経済研究所

2020年11月25日(水)IT Leaders編集部

矢野経済研究所は2020年11月24日、国内の電子契約サービス市場を調査し、市場概況やサービス参入企業の動向・普及動向・将来展望を発表した。2019年の電子契約サービスの市場規模は前年比74.4%増の68億円になる。テレワークの広がりで認知や必要性が拡大し、2020年は100億円超の市場へ成長する。

 2019年の国内電子契約サービス市場規模は、事業者売上高ベースで前年比74.4%増の68億円と矢野経済研究所は推計している。電子契約サービスそのものの認知や、信頼性に問題がないことなどに対する認知が広がっている。また、雇用条件通知書が電子化されたことなどもあって、市場は順調に成長している。

図1:電子契約サービスにおける市場規模の推移と予測(出典:矢野経済研究所)図1:電子契約サービスにおける市場規模の推移と予測(出典:矢野経済研究所)
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 2020年の電子契約サービス市場規模は、事業者売上高ベースで前年比58.8%増の108億円に達する(図1)。2021年の市場はさらに伸長し、前年比62.0%増の175億円に達する見通しである。電子契約サービス市場は、2017年から2024年までのCAGR(年平均成長率)が37.8%と順調に拡大し、2024年には264億円に達する。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染が拡大した2020年4月、GMOインターネットグループは、顧客が手続する際の印鑑廃止と、取引先との契約を電子契約のみとすることを表明した。これは、電子契約サービス業界にインパクトを与えた。2020年上期には、電子契約サービスを採用する企業や、サービスの適用範囲を広げた企業が急増した。

 規模別に採用企業を見ると、大企業の導入が中心だが、中小企業における導入・検討も進んでいる。中小企業のデジタル化は、思うようには進展していないところもあるが、コロナ禍により、電子契約サービスをトップダウンで進める企業が増えたことも追い風になっている。

 電子契約サービス導入による影響は、法務部門だけが受けるものではない。むしろ、社内向けの文書から利用を開始するなど、スモールスタートが主流だった。しかし、コロナ禍でのんびりと構える余裕はなくなり、最初から全社導入する企業も増加基調にある。スモールスタートだとしても、導入段階から全社導入が視野に入っている企業が増えている。

 大企業の場合、かつては導入までに1年以上要することもあったとが、今は3カ月~6カ月程度で導入するケースが多い。中小企業の場合は、2カ月~3カ月、または1カ月以下の期間で導入する企業もある。電子契約サービスの情報収集から実際に導入するまでの期間が短縮傾向にある。

 2020年に入ると、COVID-19の影響で在宅勤務が急速に広がる一方で、書類の処理やハンコを押すために出社しなければならない事態に直面し、BCP(事業継続)の観点からも電子契約サービスが注目されるようになった。

 2020年5月には法務省が、取締役の議事録作成に必要な取締役と監査役の承認について、クラウドを活用した電子署名が会社法上も有効であることを経済界に伝えた。2020年6月には、内閣府や法務省、経済産業省が契約書への押印不要の見解を示した。これらのことが、電子契約サービス普及の追い風になった。

 今回の調査期間は2020年8月~同年10月。対象は国内電子契約サービス関連事業者など。調査方法は矢野経済研究所の専門研究員による直接面談と、電話またはメールによるヒアリング調査を併用した。

 なお、同調査における電子契約サービスとは、Web上で電子ファイルに押印・署名するなどして契約を締結できる製品・サービスを指している。製品・サービスによっては契約書以外の書類にも対応し、契約書の作成・管理や契約業務の管理なども可能になる。市場規模については、電子契約サービスベンダーの事業者売上高ベースで算出した。

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