NTTテクノクロスは2020年12月1日、VR(バーチャルリアリティ)デバイスを用いてバーチャル空間で作業員向けの安全教育や研修を実施できる「VR安全意識向上サービス」の新バージョンを発表、同年12月7日より販売開始する。作業中の事故などをVRで体験できる。新バージョンでは、無線VR機器を採用し、事前準備や取り扱いを容易にした。価格(税別)は、1ライセンスあたり月額8万円(無線VR機器は別途費用が必要。詳細は要問い合わせ)。
NTTテクノクロスの「VR安全意識向上サービス」は、VR(Virtual Reality)デバイスを用いてバーチャル空間で作業員向けの安全教育や研修を実施できるサービスである(図1)。2019年12月からサブスクリプション型で提供している。
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従来の構成では、VR機器とクライアントPCを、ケーブルで接続していた。このため、体験者がケーブルに足を取られることを防ぐために、補助者が複数人必要だった。新バージョンでは、クライアントPCが不要で、VRデバイス単体で利用できるらめ、1人しかいなくても視聴体験を実施できる。
新バージョンでは、機材の数が2分の1とシンプルになった。これにより、狭い会議室などでも利用できるようになった。機材は、箱に収めて持ち運びできる。これに対して従来は、機材が多く、スペースを取るうえ、設置が容易ではなかった。
コンテンツは、NTTグループから収集した、工事作業に関する重大事故などの知見を基にしている。NTTグループの1万人以上が体験し、体験者の86%が「体験前より事故が怖い」と回答した、15種類のコンテンツで構成する。
作業中の事故例などをVRで体験することで、事故の怖さと正しい作業を学ぶことができる。ビデオ上演やプレゼン資料を用いた受動的な研修よりも効果があるとしている。
今回新たに、配線工事における高所作業時の転落と架上ラック上作業時の転落を体験できるコンテンツも追加した。今後は、建設や設備工事のほか、工場や農林水産業などでの作業事故や交通事故の撲滅に向けて、コンテンツを拡大する予定である。
NTTテクノクロスは背景として、建設や設備工事などで、作業中の事故撲滅のために、VR技術を用いた作業員向けの安全教育や研修を利用する企業が増えている状況を挙げる。しかし、安全性などを考慮すると体験者をサポートするための補助者が必要で、3密(密閉・密集・密接)は避けられず、コロナ禍では不向きな面もある。