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動画サービス「ニコニコ」、静的コンテンツ保存用のストレージを刷新、コストを10分の1に削減

2020年12月10日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)

KADOKAWA Connectedは、ドワンゴの動画コミュニティサービス「ニコニコ」において、静止画像などの保存に使っているオブジェクトストレージを、米RSTORのクラウドストレージ「RSTOR」に置き換える。グループ各社の社内ファイルサーバーのバックアップストレージとしても利用する。現在は容量300TBで契約しており、2020年11月から稼働させている。オンプレミスのストレージおよびAmazon S3 Glacierを用いた従来システムと比べて、約10分の1のコスト削減になると試算している。RSTORを販売したTwoFiveが同年12月10日に発表した。

 ドワンゴが運営している「ニコニコ(niconico)」は、「ニコニコ動画」や「ニコニコ生放送」などのユーザーコンテンツで知られる動画コミュニティサービスである。KADOKAWA Connectedは、ニコニコをはじめとしたKADOKAWAグループ運営サービスのITインフラ開発・運用などを担っている。

 ニコニコでは、静的コンテンツをオブジェクトストレージに格納している。アプリケーション開発に必要なデータ(ビルド済みバイナリ、ログなど)、サイトに表示する静的コンテンツ(JavaScriptやCSSなど)、ユーザーアイコンなどの画像ファイルなどである。現行システムでは、オブジェクトストレージとして、オンプレミスのストレージとAmazon S3 Glacierを使っている。

図1:動画サービス「ニコニコ」で使っている静的コンテンツ保存用オブジェクトストレージの概要。現行システムとRSTORの比較(出典:TwoFive)図1:動画サービス「ニコニコ」で使っている静的コンテンツ保存用オブジェクトストレージの概要。現行システムとRSTORの比較(出典:TwoFive)
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 今回、KADOKAWA Connectedは、ニコニコで使うオブジェクトストレージとして、クラウドストレージの「RSTOR」を採用した(関連記事TwoFive、S3互換クラウドストレージ「RSTOR」を東京DCで開始、高速データ転送などに特徴図1)。2020年10月に採用し、2020年11月頃から運用を開始している。現在の契約容量は300TBである。グループ各社の社内ファイルサーバーのバックアップストレージとしても利用する。

 RSTORのライセンス面での特徴は、保存したデータ容量にのみ課金し、リクエスト数やダウンロード転送量などには課金しないこと。ニコニコはデータに対するRead/Writeの回数が多いが、容量に対する定額課金のみで利用できることから、KADOKAWA Connectedでは、オンプレミスの現行システムに比べて10分の1近いコスト削減になると試算している。

 運用管理コストの削減も見込む。現行システムでは、性能維持のための定形作業に、約2カ月に1回、5人日を要していた。RSTORに置き換えることで、これらの作業が不要になる。障害発生時の対応コストがなくなることで、運用負荷を大幅に軽減できると見込んでいる。

 RSTORの性能面での特徴は、WANを介したデータ転送を高速化する仕掛けを用意していること。TCPのコネクションを確立する際のSYN/ACKのハンドシェイクなどを省略して高速化を図るゲートウェイソフトウェアを用意している。現行システムでは、約1億のオブジェクトが集中した際に障害が発生したり、大量データの一括削除で操作不能になったりしていたが、RSTORでは問題なく処理できることを検証したとしている。

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