[調査・レポート]

国内サブスクリプション市場は前年度比28%増、コロナ禍の生活様式も影響─矢野経済研究所

2021年4月14日(水)IT Leaders編集部

矢野経済研究所は2021年4月13日、国内のサブスクリプションサービス市場の調査結果として、主要・注目カテゴリーの市場動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。2020年度の国内サブスクリプションサービス市場規模(7市場計)は前年度比28.3%増の8759億6000万円だった。コロナ禍の生活様式も影響し、新規ユーザーの加入が増加した事業者も多いという。

 矢野経済研究所は、2020年度の国内サブスクリプションサービス市場(7市場計、食品・化粧品類の定期宅配サービス分野含む)を調査した(図1)。エンドユーザー(消費者)支払額ベースで、前年度比28.3%増の8759億6000万円だった。2021年度は、前年度比13.8%増の9965億円を予測している。

図1:サブスクリプションサービス国内市場規模(7市場計)推移・予測(出典:矢野経済研究所)図1:サブスクリプションサービス国内市場規模(7市場計)推移・予測(出典:矢野経済研究所)
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 矢野経済研究所は、サブスクリプションサービス市場の特性として、デジタルコンテンツ分野と食品・化粧品類の定期宅配サービス分野を除くと、まだ小規模な分野が多いことを指摘。「サブスクリプションサービスは、認知が進んでも利用が進まない課題がある。しかし、2020年にコロナ禍となって以降、生活様式や働き方が大きく変わったことで市場も変わってきた」(同社)と分析している。

 2020年度は、各分野において新規ユーザーの加入が目立ったという。コロナ禍でさまざまな行動が制限されたことをきっかけに、利便性の高いサブスクリプションサービスの利用が進んだとしている。「各社は無料サービスなどのキャンペーン展開により、新たなユーザーを大幅に獲得している」(同社)

 多拠点居住サービス市場は、「地方との交流」や「デュアルライフ」など特定の目的を持つ人に向けたサービスを中心に、ニッチな市場として成長していく流れがあったが、コロナ禍となった2020年以降は、人々の生活様式や働き方が変わり、注目を集めているという。

 コロナ禍直後で人の移動が減少し、テレワークが定着しはじめた時期は、自宅で過ごす人々が増えたことから、一時的にサービスの稼働を大きく落とした事業者も見られたと同社は説明する。「一方、緊急事態宣言が明けた2020年6月以降は、テレワーク場所として都心部から離れた拠点を利用するニーズが高まっている。都市部近くの周辺エリアに拠点を持っていた事業者も郊外・地方拠点の開拓を進めている状況で、多くのサービスで拠点数が増えている」(同社)

 このほか、2020年度のトピックとして同社は、宿泊施設の参入を挙げ、次のように説明する。「コロナ禍によってインバウンド(訪日外国人客)が激減したことへの対策として、宿泊施設を月額制サービスとして提供するホテルなどが登場している」

 ただし、これら施設のサービスは今後、コロナ禍の収束や東京オリンピック・パラリンピック開催によって宿泊需要が戻ることが想定されるため、そのタイミングで終了すると矢野経済研究所は見ている。

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