IDC Japanは2021年5月11日、国内企業のテレワークの実態に関する調査の結果を発表した。産業分野別、従業員規模別に分析し、2025年まで予測した。現在テレワークを実施している企業の約半数は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)収束後にテレワークを縮小する意向を示している。
IDC Japanの調査によると、2020年の国内におけるテレワークの導入企業は161万社で、2019年の62万社と比べて急増した。2020年のテレワーク実施率は42.6%で、2019年の16.3%から2.6倍の伸びとなっている(図1)。また、2020年のテレワーカー(テレワークで働く人)は997万人で、2019年の約100万人からほぼ10倍に急増している。
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テレワークの導入企業とテレワーカーが2020年に急増した主な要因は、言うまでもなく2020年初頭に始まった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行の影響である。外出制限(緊急事態宣言)によって、テレワークの導入など勤務体系の大きな変化が数字に表れたかたちだ。
同調査によると、2020年にテレワークを実施した企業の多くが、2021年にテレワークを廃止または縮小する意向を示している。理由として、COVID-19への対応方法を理解し始めたことや、経済活動を進めることなどが挙がっている。
具体的には、2020年にテレワークを実施した企業のうち、中堅・中小企業(従業員数1000人未満)の10.5%、大企業(同1000人以上)の7.7%がCOVID-19収束後にテレワークを廃止する。2020年にテレワークを実施した企業の約4割(中堅・中小企業の41.1%、大企業の42.9%)はテレワーカーを縮小する。
IDC Japanでは、企業がテレワークを廃止またはテレワーカーを縮小する理由として、テレワーク環境下での社員間のコミュニケーションのとりにくさと、社員のメンタルヘルスなどの課題を挙げる。ただし、2023年以降は徐々にテレワーク実施企業が増加に転じ、2020年~2025年のCAGR(年間平均成長率)はマイナス0.9%と予測している。
なお、同社によると、国内における中堅・中小企業は全378万5103社、大企業は全1532社である。