[調査・レポート]
IT部門に頼らない市民開発が普及、業務部門の6割が「自分たちで開発できる」と回答─ガートナー
2021年5月27日(木)IT Leaders編集部
ガートナー ジャパンは、日本企業の市民開発(エンドユーザーによるアプリケーション開発)に関する実態調査の結果を発表した。ユーザー部門の回答者の60%超が「エンドユーザーが開発したアプリケーションがある」と回答した。システム内製化を支援するローコード開発ツールの進展などを背景に、市民開発の普及が進んでいる現状が明らかになった。一方、市民開発の課題の上位は、「属人化」「品質のばらつき」「ガバナンスの困難さ」だった。
ガートナー ジャパンは2021年2月、日本の企業内個人を対象に、エンドユーザーによるアプリケーション開発(市民開発)の現状について調査した。ユーザー部門に所属する個人に対し、市民開発の実施状況を聞いた。
調査の結果、「エンドユーザーが開発したアプリケーションがある」と回答した割合は62%に上った。IT部門に所属する個人の回答でも、約37%がエンドユーザーによる市民開発を認識していた。
同社では、日本企業における市民開発はかなり浸透していると見ている。IT部門よりユーザー部門の認識する割合が大きいことから、IT部門が関与していない市民開発が相当程度存在していると見ている。
自分たちで開発できるし、自分たちで開発した方が早い
エンドユーザーが自ら開発する理由を聞いたところ、回答の上位3項目は、「自分たちで開発できる(IT部門に頼むほどではない)」(62.2%)、「自分たちの要求、要件の内容に沿ったものができる」(54.6%)、「自分たちで開発した方が早い(時間短縮)」(52.1%)だった(図1)。
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ガートナーは、「ユーザー部門が必要とするアプリケーションをIT部門がタイミングよく提供し続けることは非常に難しい。ユーザー部門が、自分たちで開発できるなら自分たちで開発しようと考えるのは当然だ」と見る。
調査では、市民開発の対象となるアプリケーションの種類も聞いた。回答が最も多かった項目は「自分自身の作業効率の向上」(47.5%)だった。一方で、自分自身だけでなく部署レベルで複雑な処理が求められる領域でも市民開発が多く見られた。
●Next:エンドユーザーが市民開発の課題として挙げたことは?
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