東北大学のサイバーサイエンスセンターとNECは2021年7月15日、量子アニーリングの研究推進に向けた取り組みの内容を発表した。NECは東北大学に、シミュレーテッドアニーリングソフトウェアの評価版を提供。東北大学は、学内外の研究開発者に向けて、シミュレーテッドアニーリング利用サービスを同年8月から開始する。
東北大学のサイバーサイエンスセンター(宮城県仙台市)は、量子アニーリングをソフトウェア処理によって実現するシミュレーテッドアニーリング(SA)マシンの利用サービスを、学内外の研究開発者に向けて2021年8月から開始する。NECが開発したシミュレーテッドアニーリングソフトウェアを、2020年10月に導入したスーパーコンピュータ「AOBA」と組み合わせて利用する。
NECが提供するシミュレーテッドアニーリングソフトウェアは、NECが研究・開発を進めているソフトウェアであり、ベクトル型スーパーコンピュータ「SX-Aurora TSUBASA」上で動作する。東北大学のスーパーコンピュータ「AOBA」も、SX-Aurora TSUBASAを中核としている。
ベクトル型スパコンでアニーリングを高速にシミュレート
シミュレーテッドアニーリング(SA)とは、一般的なコンピュータのデジタル回路を用いながら、ソフトウェア処理によって量子アニーリングをシミュレーションする方式を指す(関連記事:NEC、デジタル処理のアニーリングマシンをベクトル型スパコンで高速化、2020Q1にサービス提供)。
取り組みの背景として、社会課題の複雑化にあわせて、これまで解けなかった問題を高速で解くことができるという期待を集める量子コンピューティングへの注目の高まりを挙げている。東北大学とNECは、量子コンピューティングを活用した課題解決の実証環境を新たに東北大学サイバーサイエンスセンターの利用者に提供することで、学生や研究者の育成を加速する。さらに、量子コンピューティングの活用実証を進めることで、各種の社会課題の解決につながることを目指す。
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