NTT東日本は2021年8月5日、契約不要、ユーザー登録不要で利用できる無料のシンクライアント型VPNシステム「シン・テレワークシステム」に「HTML5版」を追加すると発表した。Windowsだけでなく、MacやChromebookなどからも、Webブラウザ(HTML5)を使って接続できるようになる。
NTT東日本と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「シン・テレワークシステム」は、契約不要、ユーザー登録不要で利用できる無料のシンクライアント型VPNシステムである。
オフィスのWindowsに専用のサーバーソフトウェアを、自宅のWindowsに専用のクライアントソフトウェアをインストールして使う。クラウド上の中継サーバーを介して、自宅からオフィスにリモートデスクトップ接続できる(図1、関連記事:NTT東日本とIPA、契約不要で無料のシンクライアントVPN「シン・テレワークシステム」を開始)。
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シン・テレワークシステムは、2020年4月21日から提供を開始し、2021年7月末時点で約17万人が利用している。今回、1年間の実験を通じて要望の多かった「自宅のMacやChromebookなどから利用したい」という要望を実現するため、Webブラウザから接続できる「HTML5版」を新たに提供することにした(画面1)。さらに、2021年10月31日までとしていた実証実験期間を、2022年3月31日まで延長した。終了する場合は、終了の6カ月前までに通知する。
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シン・テレワークシステムは、要素技術として、筑波大学や独立行政法人情報処理推進機構(IPA)のサイバー技術研究室によるストリーム中継処理プログラム、ソフトイーサが提供するシンクライアント型のリモートデスクトップサービス「Desktop VPN」のソースコード、KADOKAWA Connectedが構築・運用するドワンゴの動画サービス「ニコニコ動画」のバックボーンネットワークなどを利用している。
サービスの中核となるストリーム中継処理プログラムは、筑波大学の研究成果であるスケーラブルなストリーム中継処理プログラム(以前から数万ユーザー程度のスケーラビリティを実現していたもの)のソースコードを、IPAサイバー技術研究室が改良した。既存のコードと、オープンソースのVPNソフトウェア「SoftEtherVPN」のコードをマージして書き直し、数十万~百万ユーザー程度のスケーラビリティを実現することを目的とした新しい改良を施した。
リモートデスクトップ機能には、Desktop VPNのソースコードを流用している(関連記事:ソフトイーサ、テレワーク支援でリモートデスクトップ「Desktop VPN」を2020年4月末まで無料提供)。Desktop VPNは、会社のPCを社外からリモート操作するためのリモートデスクトップサービスであり、操作される側と操作する側の両者が、互いにクラウドにHTTPSで接続する仕組み。操作される側がクラウドに張ったHTTPSのトンネルを利用することによって、操作される側のファイアウォールを超えてリモートアクセスできる。
シン・テレワークシステムのソフトウェアは、シン・テレワークシステムのWebサイトからダウンロードできる。使い方の説明も記している。