日立システムズは2021年9月27日、IoT情報共有サービス「エリア情報サービス」を提供開始した。特定地域の画像・映像情報を収集・把握・共有し、地図上で可視化するクラウドサービスである。現場映像などを地図とひも付けてリアルタイムに共有することが可能で、地域防災や観光促進などの用途で利用できる。
日立システムズの「エリア情報サービス」は、クラウド型のIoT情報共有サービスである。特定地域の画像・映像情報や各種IoTセンサー情報を収集・共有し、地図上で可視化する。文字情報や現場映像などを地図とひも付けてリアルタイムに共有することが可能で、地域防災や観光促進など各種の用途で利用できる(画面1)。
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例えば、災害発生時、現場の映像や画像をスマートデバイスで撮影してクラウドに登録することで、災害地域の状況の迅速な共有・把握が可能になる。地図と連動して各種情報や画像などを確認でき、対策本部で全体状況を視覚的に共有することができる。
映像や画像を登録する際に、文字情報を付加する「タグ付け機能」を備えている。特定のタグが付いた映像や画像だけを検索するといった使い方ができる。同様の災害や関連する災害について、映像や画像を確認したり、過去の被災状況と比較したりすることが容易に行える。
日立システムズは、地域防災以外の用途も示している。地域の混雑解消や観光促進、製造現場での部品位置把握・作業の滞留状況改善、物流業における車両の現在地情報や配送地点の登録による効率的な運送計画の立案などである。
例えば、カメラ映像から人流・密度の情報を収集して分析することで、特定地域の混雑を緩和する施策の検討に役立てることができる。また、地域の観光施設や店舗などの観光情報を一元管理し、観光客に対してデジタルサイネージなどを通じて各種情報を配信するような用途を挙げる。店舗の混雑状況、天気や来訪客の属性に合わせた観光プランを提供できるようになる。
エリア情報サービスの事例として、東京都武蔵野市の事例を挙げている。宇井以前、同市でデータを入力できるのは防災課の職員だけで、しかも無線、電話、ファクスで届く情報を取りまとめて入力していた。このため、災害が同時に広範囲で発生した場合、処理が追いつかないという懸念があった。また、オンプレミス環境のシステムのため、災害時にシステムが利用できなくなる問題もあったという。
同市は2021年3月に防災用途でエリア情報サービスを導入。従来のシステムでは災害情報を取得後、共有までに5分はかかっていたが、エリア情報サービスでは1分以内で済むようになった。また、インターネットに接続可能なデバイスがあれば、職員が現場からでもリアルタイムにシステムにアクセスして、写真による報告が行えるようになったという。