[調査・レポート]

2021年の国内AI画像認識市場は前年比162.8%、人手不足や効果検証が要因─デロイト トーマツ ミック研

2021年10月13日(水)IT Leaders編集部

デロイト トーマツ ミック経済研究所は2021年10月13日、『AI(ディープラーニング)活用の画像認識ソリューション市場の現状と展望 2021年度版』を発刊したと発表した。2020年の国内ディープラーニングを活用した画像認識製品・サービスの市場規模は、コロナ禍の影響を受けつつも前年比148.7%の197億8000万円で、2021年度は162.8%の322億円に達するという予測を示している。人手不足・働き方改革や、費用対効果の実証などの要因で、同市場は2021~2025年度まで年平均60.8%増で成長を続け、2025年度には2300億円に達するとしている。

 デロイト トーマツ ミック経済研究所は、主要ベンダー44社への面接インタビューを行い、各社の取材数値と、その他ベンダーの推定値を積み上げて市場規模を算出。市場の動向や今後の予測、および上位ベンダーの強みを分析している(調査44社69製品・サービス。市場カバー率は73.2%)。

 同社が発表した調査結果の概要によると、2020年度のAI(ディープラーニング)活用の画像認識製品・サービス全体の市場規模は、前年比148.7%の197億8000万円だった。「AIは『〈過度な期待〉のピーク期』を過ぎ、希望的視点から実際の業務課題解決に適用していこうとするフェーズに突入した」と同社は指摘している(図1)。

図1:AI(ディープラーニング)を活用した画像認識市場の中期予測(2019~2025年度)(出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所)図1:AI(ディープラーニング)を活用した画像認識市場の中期予測(2019~2025年度)(出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所)
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 「ユーザーのニーズが明確化したことによって、業務の課題に適合した業務アプリケーションが誕生しているほか、PoC(概念実証)を経て実運用に移行する案件が徐々に増加している。また、多店舗展開しているユーザー企業が、試験的に数カ所で導入した後、効果が見込めたので導入を拡大するケースも増えている」(同社)。一方で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響も大きく、2020年度内に計上予定だったプロジェクトの順延や見送りが発生したとしている。

 「2021年度は、ベンダーとユーザー企業ともにニューノーマルな働き方に慣れてきたことや、PoCから本格稼働への進行、多店舗展開のさらなる拡大、前年度の期ズレ案件などが貢献し、前年比162.8%の322億円と、2020年度以上の伸び率となる見込み」としている。同市場は、2021~2025年度まで、年平均60.8%増で成長を続け、2025年度には2300億円に達すると同社は予想している。

 「AI画像認識の製品・サービスは、人間の目視業務の代替手段になる。このことから、人手不足や働き方改革、高層ビルや社会インフラの老朽化の検査などの用途で活用が進んでいる。このほかにも、費用対効果の実証とユーザーの期待感向上、新たな働き方/生活様式への順応、経験効果、AIエコシステムの構築などの要因が後押しする」と同社は分析している。

 同社は、主要な用途別の2020年度の市場規模とトピックを示している。

  • 店舗顧客分析:18億7000万円(前年比165.5%)
    客観的なマーケティングデータ収集の需要拡大で伸長。一部箇所での利用から複数箇所への利用拡大が見込める点も押し上げ要因になっている。
  • セキュリティ:14億1000万円(前年比138.2%)
    骨格推定と組み合わせ、通常と違う異常な行動をしている人を事前に検知し、事故を未然に防ぐ役割の期待が高まり、採用が拡大している。
  • 不良品検知:86億7000万億円(前年比137.4%)
    機械や自動車系は苦戦も、巣篭り需要で食品メーカーや健康器具メーカー、医療機器メーカーが好調である。
  • 保守・点検:33億円(前年比152.1%)
    熟練技術者の高齢化・後継者不足を背景に、インフラ設備点検や河川の水位判定で採用が加速している。
  • 個数・品質管理:14億2000万円(前年比151.1%)
    流通センターのオートメーション化進行に伴い、その中枢技術であるAI画像認識の採用が進行している。
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