[調査・レポート]
都市圏居住者の3割弱が地方移住に関心、うち4割超はテレワークでの現職継続を希望
2021年12月7日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)
NTTデータ経営研究所は2021年12月6日、「地方移住とワーケーションに関する意識調査」の結果を発表した。都市圏居住者の3割弱が地方移住に関心があり、うち半数程度は移住に向けて検討・準備を行っている。また、地方移住に関心がある層のうち、4割超が移住後もテレワークの活用によって現在の勤務先で働き続けたいと考えている。一方、ワーケーションの実体験者は全体の約7%にとどまり、実施には障壁が存在する。
NTTデータ経営研究所は、「地方移住とワーケーションに関する意識調査」を実施した。都市圏居住者の3割弱が地方移住に関心があり、うち半数程度は移住に向けて検討・準備を行っている。また、地方移住に関心がある層のうち、4割超が移住後もテレワークの活用によって現在の勤務先で働き続けたいと考えている。一方、ワーケーションの実体験者は全体の約7%にとどまり、実施には障壁が存在する。
首都圏を中心とした都市圏に居住・就業している人に対し、より都心から離れた郊外や地方への移住と移住後のワークスタイルに対する意識を調査した。また、観光地やリゾート地でテレワークと余暇を両立させる「ワーケーション」に対する意識や実施意向・抵抗感について調査・分析した。調査は、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションが提供する「NTTコム リサーチ」登録モニターを対象に実施した。
都市圏居住者の3割弱が地方移住に関心
現在都市圏に居住・就業している人(正社員を対象)のうち、地方移住(郊外を含む)に関心があるとした回答は、全体の3割弱(27.9%)に上る(図1)。3割弱のうち、1割強(12.9%)はコロナ禍を機に地方移住に関心を持ったと回答した。コロナ禍を機に地方移住に関心を持つ層が2倍弱に増えたと考えられる。地方移住に関心がある人のうち約半数(47.6%)は、移住に向けた検討・準備を行っていると回答しており、具体的な行動を開始している。
拡大画像表示
地方移住に関心がある人に、移住先での生活にあたって重視する要素を聞くと、「生活インフラの利便性」や「住宅費の安さ」に加え、「都心からのアクセス」を重視するとの回答が4割超だった。地方に移住したい一方で、都心への交通については一定の利便性を保っておきたいという意図が見える。
移住の候補地となる都道府県を3つまで挙げてもらったところ、一都三県(東京都(23区外)、千葉県、埼玉県、神奈川県)のほか、長野県、静岡県、北海道を挙げる回答が1割超だった。北海道を除けば、東京都心への(静岡県、長野県は新幹線での)通勤圏となる地域が多く挙がった。
候補地を選んだ理由は「自然環境の豊かさ」が最多で、回答者のほぼ半数が挙げた(図2)。次いで「現在の職場へ通勤可能であること」を3割が挙げた。「住宅費の安さ」も3割弱が挙げている。一方で、「自身や家族の出身地等」という理由や、「過去に旅行等で訪れたことがある」といった、自身に縁のある地域であることを選定理由とした回答は2割程度にとどまり、「自身の趣味を楽しめる」とした割合を下回っている。
拡大画像表示
4割超は移住後も現在の勤務先でテレワークで働き続けたい
地方移住に関心がある人に対して、移住後の就業に対する意向を聞いたところ、「主にテレワークを行いながら現在の職場での勤務を続けたい」とする回答が最多の4割超(44.4%)だった(図3)。移住後はテレワークを前提としつつ、今の勤務先で働き続けたい意向を半数近くの回答者が持っている。「主に通勤しながら現在の職場での勤務を続けたい」や「現在の勤務先において、移住先に近い事業所に異動して勤務を続けたい」を合わせると6割超の回答者が勤務先を変えずに地方移住をしたいと考えている。
拡大画像表示
加えて、移住の検討にあたって事前に体験したいことについて聞いたところ、4割超が「先に移住し、就業している人への相談」に加えて「サテライトオフィス等、テレワーク勤務できる施設の確認・体験」を挙げている。移住先におけるテレワークでの就業を見越して、勤務環境の充実を確認したい意向がみえる。
一方で、移住後における中長期的なライフプランについては、「移住先の地域に永住したい」とする回答は2割強にとどまっている。「移住先の住み心地により、他の地域に転居するか判断したい」と「ライフステージが変化したら、他の地域に転居するか判断したい」で5割超を占めた。地方移住に関心を持ちつつも、必ずしも永住を前提とせず、今後の環境変化に応じて転居を検討したいと考えている層が大半である。
●Next:ワーケーションが広まらない理由
会員登録(無料)が必要です
- 1
- 2
- 次へ >