ホームセンター大手のカインズは、ECシステムをMicrosoft Dynamics 365で刷新し、2021年8月に稼働させた。ECサイトで受け取った受注データに対して、倉庫からの出荷指示、近隣の店舗からの移動指示、卸への必要な発注を自動で行うシステムである。リアルタイムに在庫数量を管理することで、システムの刷新前と比べて、欠品率が下がったほか、在庫切れから入荷までの時間を3分の1に短縮した。在庫切れによるキャンセル率も半減した。システムを構築した日立ソリューションズが2022年2月24日に発表した。
ホームセンター大手のカインズは、ECシステムをDynamics 365で刷新した。ECサイトで受け取った受注データに対して、倉庫からの出荷指示、近隣の店舗からの移動指示、卸への必要な発注を自動で行うシステムである。リアルタイムに在庫数量を管理することで、システムの刷新前と比べて、欠品率が下がったほか、在庫切れから入荷までの時間を3分の1に短縮した。在庫切れによるキャンセル率も半減した。
カインズは、225の実店舗(2021年2月末現在)に加えて、オンラインショップと「カインズアプリ」を用いたEC店舗を運営している。2011年から稼働していた従来のECシステムは、在庫情報をリアルタイムに更新できなかったため、在庫切れ時に出荷までのリードタイムが長くなっていた。こうした課題を解決するため、2018年にECシステム刷新プロジェクトを開始し、2021年8月に新システムを稼働させた。
新システムでは、受発注業務を統合した。オンライン上の受注データに対し、注文に引当できる在庫がある場合は出荷を自動指示し、在庫がない場合は卸へと自動発注する運用が可能になった。これにより、機会損失のリスクを減らした。オンラインとオフラインの在庫数量データをリアルタイムに把握できるため、リードタイムが導入前の約3分の1に縮まった。受注後の在庫切れによるキャンセル率は半分以下に減った。予想外の在庫切れによる急な発注などの対応も不要になった。
カインズはまた、ECシステムの開発にあたって、新機能の開発やメンテナンスを内製化できる体制を整えた。SIベンダーの日立ソリューションズが、ユーザーであるカインズに対して、新機能を開発できるスキルとノウハウを提供した。カインズは、X++(Dynamics 365用のプログラミング言語)やノーコード開発ツールを活用して、アジャイル型でシステムの機能を拡張できるようになった。在庫情報を他システムに通知するAPIを開発するといった機能追加を内製で行えるようになった。