[市場動向]

建物の3Dウォークスルーを容易に作成─米Matterportが日本法人「マーターポート」を設立

住宅のバーチャル見学や工場設備のメンテナンスなどに活用

2022年4月14日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)

米Matterportは2022年4月14日、日本法人「マーターポート株式会社」(本社:東京都港区、執行役員社長:蕭敬和氏)を設立したと発表した。現場担当者が建物の室内空間を撮影して、ウォークスルー可能なデジタルツイン(3Dコンテンツ)を容易に作成し、Webブラウザで閲覧できるようにするサービスを提供している。現在は首都圏を中心に住宅などの建設業界に特化しているが、日本法人の設立により、今後は販売網とエリアを全国に拡大する。

 米Matterportは、日本法人「マーターポート株式会社」(本社:東京都港区、執行役員社長:蕭敬和氏)を設立した。建物の室内空間を撮影してデジタルツイン(3Dコンテンツ)を作成し、Webブラウザで閲覧できるようにするサービスを提供している(画面1)。現在は首都圏を中心に住宅などの建設業界に特化しているが、日本法人の設立により、今後は販売網とエリアを全国に拡大する。

画面1:住宅全体を撮影して3Dモデル化したデジタルツインをドールハウスのように俯瞰している様子(出典:マーターポート)画面1:住宅全体を撮影して3Dモデル化したデジタルツインをドールハウスのように俯瞰している様子(出典:マーターポート)
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 日本進出は2017年で、日本市場で5年間の実績がある。販売代理店は、リビングCG(東京都港区)と野原ホールディングス(東京都新宿区)の2社である。国内事例として例えば、リクルート住まいカンパニー(東京都港区)が、住宅情報サイト「SUUMO」において、物件をバーチャル見学できる機能を提供している。

 空間を撮影して作成したデジタルツイン(3Dコンテンツ)では、3D空間の中を歩いているかのように移動するウォークスルー機能と、建物全体を俯瞰するドールハウス機能が使える(図1)。一般的なVR(360度パノラマカメラで撮影した静止画の画面遷移)と異なり、3Dモデルで構成した奥行き感のある空間を実際に歩き回れることが特徴である。

図1:デジタルツイン(3Dコンテンツ)では、3D空間の中を歩いているかのように移動するウォークスルー機能と、建物全体を俯瞰するドールハウス機能が使える(出典:マーターポート)図1:デジタルツイン(3Dコンテンツ)では、3D空間の中を歩いているかのように移動するウォークスルー機能と、建物全体を俯瞰するドールハウス機能が使える(出典:マーターポート)
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 主な用途として、不動産(モデルルームなど)や観光場所の販売促進、建設における竣工記録・施工進捗管理、工場の施設管理・緊急対応の現状把握、小売店舗のスタッフ教育、などがある。

モバイルアプリとカメラで現場担当者みずから撮影可能

 ウォークスルー/ドールハウス機能を持つ3Dコンテンツの作成を容易にしている。現場の担当者が、カメラ(専用カメラやスマートフォンカメラ)とモバイルアプリを使って、みずからデジタルツイン(3Dコンテンツ)を作成可能である。作成したコンテンツはクラウドで配信し、WebブラウザからURLを指定して閲覧する。

 専用カメラ「Matterport Pro2カメラ」を設置してモバイルアプリのスキャンボタンを押すと、20秒で1周し、360度撮影する(写真1)。その後、2~3m移動して再度ボタンを押してスキャンする。これを繰り返すことで、3D空間の作成に必要なデータを取得する。こうしてデータをクラウドにアップロードする。

写真1:専用カメラ「Matterport Pro2カメラ」の外観(出典:マーターポート)写真1:専用カメラ「Matterport Pro2カメラ」の外観(出典:マーターポート)

 スマートフォンの内蔵カメラを使ってもデータを取り込める。スマートフォンを軸に回転しながら複数枚の静止画を撮影することで、3D空間の作成に必要なデータを取得する。自動で撮影するためのスマートフォン向け回転雲台(写真2)を用意しているほか、現場担当者が手でスマートフォンを持ってモバイルアプリの指示通りにみずから回転して撮影することも可能である。

写真2:スマートフォン向け回転雲台の外観(出典:マーターポート)写真2:スマートフォン向け回転雲台の外観(出典:マーターポート)

 マーターポートのビジネスは、撮影用ハードウェアの販売、撮影代行サービス、3Dコンテンツ配信クラウドサービスの利用料(月額1200円から)の3つで構成する(図2)。機能拡張のためのAPIやSDKもライセンス販売する。

図2:マーターポートのビジネスは、撮影用ハードウェアの販売、撮影代行サービス、3Dコンテンツ配信クラウドサービスの利用料、などで構成する(出典:マーターポート)図2:マーターポートのビジネスは、撮影用ハードウェアの販売、撮影代行サービス、3Dコンテンツ配信クラウドサービスの利用料、などで構成する(出典:マーターポート)
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