米IBMは2022年5月10日(米国現地時間)、量子コンピュータの今後のロードマップをアップデートした。量子ビット数を最大数十万ビットに拡大するため、モジュール式のアーキテクチャを計画している。2022年後半には433量子ビットのプロセッサ「IBM Osprey」を発表。2023年にはソフトウェアスタックにサーバーレスアプローチを導入するほか、1000量子ビットを超える量子プロセッサ「IBM Condor」を発表する。2025年にはモジュール型プロセッサとクラスタ接続によって、4000量子ビット以上のプロセッサの実現を目指す。
米IBMは、量子コンピュータの今後のロードマップをアップデートした(図1)。ポイントは、量子ビット数を最大数十万ビットに拡大するための手段として、モジュール式のプロセッサアーキテクチャなどを計画している点である。2025年には、モジュール型プロセッサとプロセッサ間のクラスタ接続によって、量子ボリューム4000量子ビット以上を目指す。
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米IBMは、2020年に最初の量子コンピュータのロードマップを発表している。ハードウェア面では、すでに達成した目標の一例として、127量子ビットのプロセッサ「IBM Eagle」がある。2022年後半には、433量子ビットのプロセッサ「IBM Osprey」を発表する予定。2023年には1000量子ビットを超える量子プロセッサ「IBM Condor」を発表する予定である。
2023年には、ソフトウェア面で、分散処理のための機構を導入する。量子と古典のハイブリッド型コンテナ型実行環境である「Qiskit Runtime」を使った量子アプリケーション開発体験を進展させ、量子ソフトウェアスタックにサーバーレスのアプローチを導入する。これは、量子コンピュータと古典コンピュータの間で、問題を効率的に分散処理させる重要なステップだとしている。
なお、IBMは2020年の段階で、「量子コンピュータの性能は1年に2倍のペースで増え続ける」と予測している(関連記事:量子コンピュータの性能は1年に2倍のペースで増え続ける─日本IBMが説明)。
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