[事例ニュース]

auのコンタクトセンター、勤務シフトの作成時間を量子関連技術で5割超短縮、2023年度以降に実用化

日立製作所の「CMOSアニーリング」を利用

2022年8月26日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)

コンタクトセンターのBPOを提供するKDDIエボルバは2022年8月26日、auのコンタクトセンターにおける勤務シフトの作成時間を、量子コンピュータ関連技術(日立製作所の「CMOSアニーリング」)を活用することによって5割超短縮できることを確認したと発表した。実証では、同年6月に勤務シフトを自動作成し、同年7月の実勤務に適用した。2023年度以降の実用化を目指す。

 コンタクトセンターのアウトソーシングを請け負うKDDIエボルバは、KDDIが運営するauのコンタクトセンターにおける勤務シフトの作成時間を、量子コンピュータ関連技術(日立製作所の「CMOSアニーリング」)を活用して5割超短縮できることを実証した。2023年度以降の実用化を目指す(図1)。

図1:勤務シフトを量子関連技術で自動作成する実証の概要(出典:KDDIエボルバ、KDDI、日立製作所)
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 実証では、KDDIエボルバの北海道地区事業所約100人のスタッフの1カ月分の勤務シフトを作成。2022年6月に勤務シフトを自動作成し、同年7月の実勤務に適用した。実証の結果、勤務条件に関するデータの準備やスタッフとの最終調整も含め、約5時間で勤務シフトの作成を完了した。また、シフト作成にかかる工数を削減しただけでなく、特定スタッフに偏りの出ない勤務シフトを作成した。勤務適用後に実施した調査では、9割以上のスタッフが勤務シフトの自動作成に肯定的だった。

 実証は、KDDIエボルバ、KDDI、日立の3社で取り組んだ。KDDIは、KDDI総合研究所の協力の下、量子コンピューティング関連技術を用いて勤務シフトを作成する計算手法を研究している。日立は、量子コンピューティングを模した独自の計算技術「CMOSアニーリング」を使った「勤務シフト最適化ソリューション」を提供している(関連記事日立、数百人規模の勤務シフトを作成するクラウドサービス、量子コンピュータを疑似的に再現)。

100人の勤務シフト作成に熟練者でも11時間以上かかっていた

 KDDIエボルバは勤務シフト作成時の課題を次のように指摘する。「勤務シフトの作成にあたっては、スタッフの契約条件、勤務希望やスキル要件などの勤務条件、時間帯ごとの必要人員数の調整など、複雑な条件を満たす必要があり、多くの時間を要する」。

 KDDIエボルバによると、これまでは、勤務シフトを作成する専門の管理者が、勤務希望やスキル平準化など20個以上の勤務条件を基に、人手で勤務シフトを作成していた。約100人のスタッフの勤務シフト作成に要する時間は、熟練した管理者でも11時間以上になるという。

 また、一般的な勤務シフト作成ツールは、必要人員数の調整は可能だが、勤務条件を十分に満たすことができず、人手による修正が発生し、全体工数が増えてしまうことも課題に挙げている。実際同社ではこのツールを使って100人規模のシフトを作成した場合、修正作業やスタッフとの調整を含めて、20時間を要していた。

 「加えて、一般的な勤務シフト作成ツールを使った場合、特定スタッフの勤務時間帯に偏りが出るシフトが生成されてしまい、不公平感からスタッフの理解が得られないという課題もあった」(同社)。

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