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アサヒグループが“新しい常識”で臨む経営改革「DX=BX」、推進過程と将来計画

2022年9月21日(水)神 幸葉(IT Leaders編集部)

デジタルトランスフォーメーション(DX)を「ビジネストランスフォーメーション(BX)」と定めて、グループ全社のプロセス/組織変革を推進するアサヒグループホールディングス。そこでは、従来の業界常識にとらわれない発想の下、デジタル時代の新しい企業文化・風土への転換が欠かせなかった。2022年9月14日、ガートナー ジャパン主催の「ガートナー データ & アナリティクス サミット」のセッションに、取り組みを牽引するアサヒグループジャパン 取締役 兼 執行役員の野村和彦氏が登壇。アサヒグループの「新しい常識」を創り上げる過程をつぶさに紹介した。

グローバル事業の急伸や働き方の変化で“価値転換”が必須に

 アサヒビール、アサヒ飲料、アサヒグループ食品など多数の事業会社をグローバルに展開するアサヒグループホールディングス。同社は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みを「ビジネストランスフォーメーション(BX)」ととらえて、プロセス、組織、ビジネスの各面での変革を推し進めている。

 アサヒグループジャパン 取締役 兼 執行役員の野村和彦氏(写真1)はセッションの冒頭、最近のアサヒグループの業容を紹介した。同氏によると、2016年以降の同グループは、積極的なM&Aや事業ポートフォリオの再構築などにより、事業利益の海外比率は40%近くに高まり、グループ社員の半数以上が外国人となるなど、グローバルな成長基盤を大きく拡大させている。

 「欧州事業が拡大したことで、アサヒグループ全体がグローバル経営のためのIT基盤の整備を急ピッチで進める必要があった。その際、働き方に関する世の中の価値観も変化している中、当グループのビジネスを新しい価値観にどう合わせていくかについても検討した」(同氏)。

写真1:アサヒグループジャパン 取締役 兼 執行役員の野村和彦氏

 野村氏は、アサヒグループがDXに向き合う前段階として、以前より計画的にIT基盤の整備を進めてきたことを紹介した(図1)。その取り組みを、加速するグループ全社のグローバル展開に対応させる形で継続し、2019年から掲げるグループ理念「Asahi Group Philosophy(AGP)」と軌を一にしたDXの推進計画を描いていった。

図1:アサヒグループにおけるIT基盤強化の歩み(出典:アサヒグループジャパン)
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DXに向かう戦略を「ADX戦略モデル」として体系化

 アサヒグループの各事業会社は、AGPビジョンに基づいたDXの取り組みを、「稼ぐ力の強化」「新たな成長の源泉獲得」「イノベーション文化醸成」を行うための成長エンジンと位置づけている。これは2019年に、「ADX戦略モデル(Asahi Digital Transformation)」として体系化され、10の戦略テーマを中心にした「ADX戦略マップ」が作成されている(図2)。

 また、従来からの既存業務の高度化・効率化のための施策に加え、既存事業の拡大、新規事業の創出を強化するために、2020年4月にValue Creation(VC)室を新設。ADX戦略モデルのCoE(Center of Excellence)を担っている。

図2:アサヒグループのADX戦略(出典:アサヒグループジャパン)
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●Next:グローバルの経営メンバーが討議を重ねて生み出した変革のビジョン

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