日立製作所は2022年10月21日、マイクロサービス開発プラットフォーム「Hitachi Microservices Platform」および「Justwareマイクロサービスフレームワーク」を発表した。企業情報システムへのマイクロサービスの適用を容易にする製品で、いずれも同年11月1日から提供する。Hitachi Microservices Platformは、買収した米GlobalLogicのアプリケーション開発フレームワークを日本向けに整備・強化して提供するもの。価格(税別)は年額36万円から。Justwareマイクロサービスフレームワークは、プロジェクトへのマイクロサービスの適用を支援する開発ツールである。価格(税別)は実行環境が年額36万円から、開発ユーティリティが開発端末あたり月額1万7500円から。
日立製作所の「Hitachi Microservices Platform」および「Justwareマイクロサービスフレームワーク」は、企業情報システムへのマイクロサービスの適用を容易にする開発プラットフォームである。前者はマイクロサービスベースのアプリケーション開発フレームワークで、後者はプロジェクトへのマイクロサービスの適用を支援する開発ツールである(図1)。
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前提となるマイクロサービスとは、システムを複数のサービスに分割し、サービス間を疎結合に連携させたシステムアーキテクチャのこと。「サービスを素早く変更・追加できることから、社会環境の変化や企業の成長など、外部要因の変化に合わせてシステムを変容させやすい。一方で、サービス間のデータの一貫性を保証する作り込みなど、従来型のシステムでは必要のない追加機能の実装が多く、知見や技術力が必要になるという課題がある」(日立)。
今回提供する開発プラットフォームは、マイクロサービスの課題を解消し、マイクロサービスの共通機能の作り込みを簡素化する。日立は、マイクロサービスに精通していない技術者でも、容易かつスピーディに開発可能としている。ソフトウェア製品として販売するほか、日立がユーザー企業から受託するシステム開発プロジェクトにもこれらを適用する。
今回提供開始する両製品の位置づけは図2のとおりである。
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Hitachi Microservices Platformは、買収した米GlobalLogicが持つマイクロサービスベースのアプリケーション開発フレームワーク「Microservices Accelerator」を、日本向けに整備・強化して提供するものである。国内でのサポートサービスとセットで提供する。価格(税別)は年額36万円から(関連記事:日立が1兆円で買収する米グローバルロジックはどんな会社なのか?)。
Microservices Acceleratorはもともと、米GlobalLogicが同社のエンジニアによるマイクロサービス開発を高速化するために開発したもの。マイクロサービス間の通信処理や、複数のサービスを俯瞰的に管理する処理など、マイクロサービスで必要になる複数サービス間の横断的機能を実装するモジュールや設定ツールで構成する。開発作業が逸脱しないための枠組みやノウハウを体系的に確立しているという。
同サービスを活用することで、性能監視やセキュリティなどの共通的な作り込みにかかる工数と手間を削減できる。これにより、アプリケーション固有のビジネスロジックの開発に注力可能になり、プロジェクトを素早く立ち上げられるようになる。また、サービスごとの通信方式や実行環境の違いを意識せずに開発できるため、要件の変更に対しても最小限の設定で対処可能としている。
一方のJustwareマイクロサービスフレームワークは、国内の大規模プロジェクトへのマイクロサービスの適用を支援する開発ツールである。価格(税別)は実行環境のランタイムライブラリが年額36万円から。開発ユーティリティが開発端末あたり月額1万7500円から。
国内の大規模な企業情報システム開発では、開発品質の均質化と効率化の両立が求められる。こうした特性を踏まえ、Justwareマイクロサービスフレームワークでは、生産性を高めるローコードによる開発支援ツールや、マイクロサービス開発の流れが分かるガイドなど、より簡単に開発できる機能群を取り揃えた。同フレームワークを使うことで、Hitachi Microservices Platformを、より容易に使いこなせるようになるとしている。