英Ernst & Young(EY)日本法人のEY Japanは2022年10月17日、経営支援サービス「気候変動リスク財務インパクト分析ツール」の提供を開始した。気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)で要求される気候変動リスク・機会の財務的インパクトを分析するツールである。同社が以前から提供しているサステナビリティ経営コンサルティングサービスを効率/精度向上を目的に開発したもの。ツールからシナリオ分析の1ステップである事業インパクト分析を自動化する。
金融安定理事会(Financial Stability Board:FSB)が2017年に公表した「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:TCFD)」の最終報告書。そこでは、気候変動が経営に与えるリスク・機会を認識し、複数の将来シナリオに基づき財務インパクトを分析することを企業に求めている。
日本では、2021年6月のコーポレートガバナンス・コード改訂により、プライム市場上場の条件として「プライム市場上場企業において、TCFD又はそれと同等の国際的枠組みに基づく気候変動開示の質と量を充実」させることが求められている。つまり、プライム市場に上場する企業は実質TCFDが求める項目の開示が義務化されている。
TCFDが開示を求めているのは、ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標の4項目である。このうち戦略の開示にあたっては、シナリオ分析が必要とされる(図1)。
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これらへの対応が必須となった企業に向けて、EY Japanは、「気候変動リスク財務インパクト分析ツール」を開発した。同社が以前から提供しているサステナビリティ経営コンサルティングサービスの効率/精度向上を目的に開発したもので、ツールでシナリオ分析の1ステップである事業インパクト分析を自動化する(図2)。
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同ツールに企業固有の情報や外部の関連情報をインプットすると、EY Japanがこれまで多くの企業の支援を通じて蓄積した経験やロジックを用いて分析を行う(図3)。複数の気候シナリオにおける将来の財務影響を自動的に可視化できるという。
分析結果は、企業のTCFD情報開示、経営戦略や脱炭素戦略の立案、金融機関などの投融資の意思決定への活用を想定している。
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