[事例ニュース]

中外製薬、作業者の保有資格・スキルから作業計画を自動立案するシステムを稼働

デジタルプラントを目指して複数の工場に展開

2023年3月6日(月)日川 佳三(IT Leaders編集部)

中外製薬は、デジタルプラントの実現に向けて生産オペレーション管理システムを刷新し、2023年1月にグループ会社の中外製薬工業浮間工場(東京都北区)で本稼働を開始した。ラインを横断した生産計画の自動立案による作業者の割り当てや、モバイルを活用した業務の効率化などで従来のオペレーションを刷新している。2023年中に宇都宮工場(栃木県宇都宮市)、2024年中に藤枝工場(静岡県藤枝市)での稼働も目指す。日本IBMがシステム構築を支援した。同社が2023年3月6日に開催した説明会に中外製薬の担当者が登壇し、プロジェクトの内容や成果を説明した。

 中外製薬は、デジタルプラントの実現に向けて、作業計画の立案を自動化するシステムなど生産オペレーション管理システムを刷新し、グループ会社である中外製薬工業の浮間工場で本稼働を開始した(関連記事外製薬の新業務システムが浮間工場で稼働、従来のオペレーションを刷新)。

 新システムは2022年10月に構築を完了し、2023年1月より本稼働している。ラインを横断して作業者を割り当てられるようになったほか、作業の確認作業をリモートで行えるようになった(関連記事中外製薬が挑む「デジタルを駆使したAI創薬」その進捗と成果)。

作業者の資格情報を一元管理して作業計画を自動立案

 今回稼働開始したシステムの1つが、作業計画を自動で立案するシステムである。計画の立案にあたっては、個々の作業に必要なスキルや資格、作業人数などの情報を利用する。このために必要な、個々の作業者が持つスキルや資格情報の一元化も図った。

 作業計画は従来、生産ラインごとに熟練者がExcelを駆使して、人手で作成していた。設備の利用状況、製法の情報、作業の工数などの情報を考慮して計画していた。作業者の資格情報は個々のラインごとに独立して管理しており、個々のライン内で作業者を割り当てていたという(図1)。

図1:これまで熟練者が人手で作成していた作業計画を自動で作成できるようにした(出典:中外製薬)
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 このプロセスを改め、システムが自動で立案するようにした。工場全体の3カ月分のアサインを立案するアプリケーションを開発した。作業者は、配布された作業カードをスマートフォンアプリで確認し、作業後に実績を入力する(画面1)。

画面1:工場全体の3カ月分のアサインを立案するアプリケーションの画面と概要(出典:日本IBM)
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 アプリケーションが作業計画を自動で立案する際には、配向性マスター(誰が、何を、どこで作業するのかを定義)と、自動アサイン比率マスター(作業員の役割に応じて自動アサイン比率を定義)を利用する(図2)。

図2:作業計画の立案に利用する配向性マスターと自動アサイン比率マスターの概要(出典:日本IBM)
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 工場内にある全生産ラインの情報と全作業者の資格を一元管理することで、ラインを横断した作業計画の立案が可能になった(図3)。教育システムとも連携し、それぞれの作業者が正しい教育を受けているかどうかを確認しながら要員計画を立てられるようになった。

図3:全生産ラインの情報と全作業者の資格を一元管理することで、ラインを横断した作業計画の立案が可能になった(出典:中外製薬)
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●Next:作業員のスマートフォンを活用したリモート作業管理

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