グーグル・クラウド・ジャパンは2023年3月30日、グローバル会議「Google Data Cloud & AI Summit」(米国時間3月29日開催)で発表した内容のうち、BigQuery(データ分析)とAlloyDB(データベース)の最新情報を説明した。BigQueryは、よりコストを抑えられるように新たな価格体系「Editions」を設けた。AlloyDBは、ダウンロードして実行可能なコンテナイメージ型の「AlloyDB Omni」をテクノロジプレビューとして用意した。
グーグル・クラウド・ジャパンは、グローバル会議「Google Data Cloud & AI Summit」(米国時間3月29日開催)で発表した内容のうち、BigQuery(データ分析)とAlloyDB(データベース)の最新情報を説明した。BigQueryは、よりコストを抑えられるように新たな価格体系「Editions」を設けた(図1)。AlloyDBは、ダウンロードして実行可能なコンテナイメージ型の「AlloyDB Omni」をテクノロジプレビューとして用意した。
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ワークロードに応じて3階層のエディションを用意
BigQueryは、DWH(データウェアハウス)用途のRDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)である。今回、新たな価格体系「BigQuery Editions」を設けた。重要な夜間バッチ処理やアドホックな分析など、それぞれのワークロードごとに異なるシステム要求に対し、適切なコストで適切な機能やSLAを提供できるように改善した。
BigQuery Editionsでは、ワークロードに応じて、3つのティア(「Standard Edition」、「Entyerprise Edition」、「Enterprise Plus」)を用意している。SLA(99.9%または99.99%)や、セキュリティやデータマスキングなどのガナバンス機能、マシンラーニング機能などの有無が異なっている(表1)。
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新たな価格体系を実現するうえで、キーとなる2つの新機能も追加した。コンピュート能力に対する課金では、定額制でありながら負荷に応じて動的にスケールし、スケール上限を設定可能な「Autoscaling」機能を追加した。コストを予算内に抑えつつコンピュート能力の効率を上げられる。ストレージに対する課金では、データ圧縮後の物理ストレージ容量で課金する「Compressed Storage」機能を追加した。
定額制でありながら負荷に応じてオートスケール
BigQueryのコンピュート能力に対する課金はこれまで、読み込んだデータ量に応じたオンデマンド課金と、定額制の2つがあった。オンデマンドはアドホックな分析用途では使い勝手がよかったが、コストを予測しづらいという課題があり、コストを予算内に収める機能の需要が高かった。一方、定額制はバッチ処理ユーザーに好評だったが、コンピュート容量(スロット)の契約に対し、これを使っていない時間が無駄になるほか、バッチ処理時に性能を一時的に高める需要もあった。
今回追加したAutoscaling機能は、これまで提供してきた定額制の課金体系を、より柔軟な形に刷新可能な機能である(図2)。コンピュート容量(スロット)型の定額課金でありながら、クエリーの負荷が上がったときに動的にスケールするようにした(スロット値の上限を設定可能)。従来の定額料金と比べてコンピュート能力の使用効率が最大で40%高まるとしている。
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データ圧縮後の物理容量課金でストレージコストを削減
BigQueryのストレージに対する課金はこれまで、データの論理容量(非圧縮状態のデータの量)に課金していた。今回追加したCompressed Storage機能は、圧縮後のデータを書き込んだ物理容量で課金する。データの圧縮率が上がることで、ストレージのコストが下がる。構造化データだけでなく、半構造化/非構造化データを含め、各種のデータを格納しやすくなる。
ただし、物理容量課金(圧縮データ)の場合、論理容量課金とは異なり、「タイムトラベル」機能に使うストレージ領域も課金の対象になる。同機能は、過去7日間(デフォルト)のデータを自動で保存する機能であり、削除したデータや、変更を加えたデータを元に戻せるようにするもの。保存期間の設定を短くすることで、物理容量課金のコストを下げられる。
物理容量課金の単価は、論理容量課金のおよそ2倍である。東京リージョンのActiveストレージの場合、論理容量課金はGBあたり0.023ドル、物理容量課金はGBあたり0.052ドルである(2023年3月30日現在)。
●Next:BigQueryのAI推論機能やコンテナ型AlloyDB Omniの概要
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