NECは、2022年10月からプロセスマイニングを運用している。O2C(Order-to-Cash)、調達、サプライチェーンまで、多岐にわたる範囲で活用している。「Celonis」を導入し、業務部門による手作業でのデータ抽出やフォローなどの負荷を軽減した。年間で700時間を超える作業時間の削減や、大幅な運用コストの削減効果を見込んでいる。Celonisが2023年6月9日に発表した。
NECは、これまでも業務システムの整理・削減によるコスト削減や生産性向上を進めてきたが、業務プロセスの改善活動が業務部門へのヒアリングやリクエストに基づく個別課題に対する机上での施策立案・効果分析にとどまっていた。業務プロセス全体での問題の特定ができておらず、改善目標やKPIの設定が難しいといった課題を抱えていたという。
これら既存の業務システムからデータを取り込んで業務プロセスを可視化・分析し、データに基づいた業務改善サイクルを確立するため、2022年10月から「Celonis」を導入してプロセスマイニングの運用を開始した。適用対象は、O2C(Order-to-Cash)、調達、サプライチェーンまで多岐にわたる。
例えば、調達領域は従来、申請案件がワークフローのどこで遅延しているかを把握するため、システム運用担当者が手作業でデータを抽出・加工・分析していた。担当者への負担が大きく、分析に時間がかかっていたという。処理遅延の未然防止と、運用フォローの工数削減を狙ってプロセスマイニングを適用した。
NECはCelonisについて、SAPやServiceNow、Salesforceなど各種システムと連携するためのコネクタ(API)が標準で豊富に用意されている点や、プロセスの可視化・分析だけでなく改善アクションまで単一基盤上で実現できる点を評価した。
2022年5月から約2カ月かけて、基幹システムの実データをCelonisに取り込み、PoV(価値実証)を行った。この結果、業務プロセスの改善サイクル(可視化、分析、改善)を実現可能なことを確認。その後、約1カ月半で適用プロセスを選定し、Celonisの導入設計・開発・実装・テストを実施し、2022年10月から本番運用を開始した。
Celonisによって可視化した業務プロセスの問題点や改善提案をベースに議論を重ね、改善活動につなげるPDCAサイクルを活性化させた。業務部門による手作業のデータ抽出作業やフォローなどの負荷を軽減できた。年間で700時間を超える作業時間の削減や、運用コストの大幅な削減効果を見込んでいる。
NECは今後、グループ会社を含めてCelonisの適用領域を拡大する。 O2C、調達、サプライチェーン領域だけでなく、他の業務プロセスへと拡大し、各業務プロセスにおける問題点や課題の解決と、継続的かつ効率的な改善活動の実現を目指す。また、既存の業務プロセスだけでなく、新規システム導入時における業務プロセスの定着状況の確認、問題点の検出・改善のために活用する。