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[技術解説]

プロセスインテリジェンスとAIの融合─Celonisに見るプロセスマイニングの新局面

プロセスを熟知したAIエージェントが諸課題を解決する

2025年3月14日(金)河原 潤(IT Leaders編集部)

ビジネスプロセスは経営の鏡像であり、その見直しと進化は業種や規模を問わず必須の活動と言える。その(すべ)であるプロセスマイニングを、本誌はいち早く取り上げて動向を追ってきた。1990年代後半に学術研究で発祥し、シーメンスやBMW、ルフトハンザ航空などグローバル企業の実践と共に発展してきたプロセスマイニングは新たなAI革命期を迎える中、どんな技術やアプローチで混迷極まる組織のビジネスプロセスを洗練させようとしているのか。最大手として分野・市場を牽引する独Celonisのここ数年の技術アップデートから探ってみる。

データとナレッジの統合─Process Intelligence Graphとは

 独Celonis(セロニス)は2023年11月、年次コンファレンス「Celosphere 2023」で「Process Intelligence Graph(PI Graph)」という技術を発表した。同社はこの技術をCelonisプラットフォームの中核要素に位置づけている。その内容は、Celonisにかぎらず、プロセスマイニングやビジネスプロセスの分野が向かっている方向を知るうえで重要に思えるので、改めて整理してみる。

 Celonisは、PI Graphを「データとナレッジの統合による、ビジネスプロセスをより深く、洞察に満ちた形で理解できるようにするためのアーキテクチャ」と紹介している。

 同社によれば、PI Graphを開発した背景には、設計書上のプロセスと従業員が想定する実際のプロセス、データが示す実態としてのプロセスの間には大きな隔たりがある問題(図1)、データやナレッジを溜め込んでプロセス分析用のデータモデルを構築しても、実際の業務に即した知見がないと効果を生み出せないという問題がある。

図1:プロセスの可視化、まして改善は⾮常に難しい(出典:Celonis)
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 図2は、Celonisが発表時に示したPI Graphのイメージだ。ポイントは「蓄積・統合されたデータとナレッジに基づいて、個々のプロセスに付随するビジネスコンテキストを含めて理解を深めるための可視化」にある。ここで言うコンテキストとは、業務のKPI、組織のロール/階層との関連性など、組織・業務にまつわる目的や背景・経緯のこと。そのために、同社独自のオブジェクトセントリックデータモデルの上にプロセスインテリジェンスレイヤー(図の中央)を追加している。

図2:Process Intelligence Graph(PI Graph)のイメージ(出典:Celonis)
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写真1:独Celonis CEOのバスティアン・ノミナヘル(Bastian Nominacher)氏

 具体的な機能として、PI Graphは、ビジネスプロセスを構成するすべてのオブジェクトとイベントがどのように相互作用し、プロセスがどのように相互接続されているかという複雑な関係を視覚化(Graph)してくれる。その結果、「Celonisのプロセスクエリーエンジンによる処理の下、データウェアハウスからエンドユーザーのデバイスにある文書まで、すべてエンドツーエンドでプロセスを可視化する」(CEOのバスティアン・ノミナヘル氏、写真1)という(図3)。

図3:PI Graphがあらゆるビジネスオペレーションをデジタルで可視化する(出典:Celonis)
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●Next:プロセスインテリジェンスとAIの融合が可能にすること、プロセスを熟知したAIエージェントの能力

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