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[技術解説]

プロセスインテリジェンスとAIの融合─Celonisに見るプロセスマイニングの新局面

プロセスを熟知したAIエージェントが諸課題を解決する

2025年3月14日(金)河原 潤(IT Leaders編集部)

ビジネスプロセスは経営の鏡像であり、その見直しと進化は業種や規模を問わず必須の活動と言える。その(すべ)であるプロセスマイニングを、本誌はいち早く取り上げて動向を追ってきた。1990年代後半に学術研究で発祥し、シーメンスやBMW、ルフトハンザ航空などグローバル企業の実践と共に発展してきたプロセスマイニングは新たなAI革命期を迎える中、どんな技術やアプローチで混迷極まる組織のビジネスプロセスを洗練させようとしているのか。最大手として分野・市場を牽引する独Celonisのここ数年の技術アップデートから探ってみる。

PI+AI─プロセスインテリジェンスとAIの融合へ

 この「PI=プロセスインテリジェンス」という言葉は近年、Celonisをはじめとするこの分野のプレーヤーが頻用するキーワードになっている。プロセスの発見・可視化・分析といったプロセスマイニングの基本的な取り組みからギアを上げて、継続的なプロセス改善のアクションまで到達したレベルを指して言うニュアンスがある。

 こうしてCelonisはPI Graphを掲げ、プロセスマイニングを構成する技術が新しいレベルに進んでいることを示した。ノミナヘル氏は、2024年はそれをさらに発展させて製品・サービスに落とし込んでいると話す。

 どう発展させたのか。ノミナヘル氏が挙げたのは「PI+AI=プロセスインテリジェンスとAIの融合」だ。「PI+AIがこれからの新しい価値となる。AIの業務活用が進むなか、それとプロセスインテリジェンスを結びつけることで、データが真に価値あるアセットになる」という。

 PIとAI、2つのインテリジェンスはどのように結びつくのだろうか。ビジネスプロセスへの作用の観点に絞ってそれぞれの役割を書き出してみる。

プロセスインテリジェンスの役割

 PIが担うのは、まずは業務システム/アプリケーションのイベントログをはじめとする種々の業務データを収集し、それらをプロセスマイニングでビジネスプロセスの可視化を行い、ボトルネックや冗長、コンプライアンス違反などを特定すること。ここまでは過去の蓄積されたプロセスに対する処理で、数多あるプロセスマイニングツールの基本動作である。

 プロセスインテリジェンスと呼ぶレベルになると、上述のPI Graphが示すビジネスコンテキストを含めたプロセスへの深い理解や、過去にとどまらず実行中のプロセスをモニタリングし、異常発生をリアルタイムに通知する機能などが加わってくる。つまり過去のプロセスだけでなく実行の大部分も担う。以前よりCelonisが「Celonis Execution Management System(EMS)」で打ち出している「可視化・分析にとどまらず、実行まで」という領域だ。

生成AIを含むAIの役割

 一方のAIは、PIによるプロセスの可視化で判明した反復的なタスクや意思決定の自動化、シミュレーションによる予測・改善を得意とする。また、従来型(旧世代)のプロセスマイニングでは扱いが難しかった、マルチモーダルな非構造化データを統合したプロセス分析を可能にする。ほかにも、生成AIのアシスタント/コパイロットによるビジネスユーザーへの直接的なサポート、膨大なプロセス実行結果を学習し異常パターンを認識するリアルタイムな異常検知もAIのアルゴリズム手法から行える。

 整理すると、PIがプロセスの可視化・分析・実行を担うなか、AIは主にプロセスの予測で強みを発揮しながら、非構造化データのハンドリング、コパイロットによるビジネスユーザー体験の向上などをもたらす。PIとAIが互いを補完しながらプロセスの可視化から実行の自動化までを一連にし、継続的なプロセスの改善・最適化を組織に定着させる。「融合によって、PIだけではできないこと、AIだけではできないことを可能にする(ノミナヘル氏)わけだ(図4)。

図4:PIとAIの補完関係(出典:Celonis)
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