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[イベントレポート]

「プロセスインテリジェンスなくしてAIなし」─Celonisが訴えるAI時代のプロセス戦略とマクニカの実践

2025年12月12日(金)神 幸葉(IT Leaders編集部)

企業が混迷の時代を生き残るための条件は「知的な適応性」の獲得。Celonisはその獲得のすべとして、AIとプロセスインテリジェンス(PI)の融合を訴えている。2025年12月4日に大阪市で開催したプライベートコンファレンス「Process Intelligence Day Osaka 2025」で、代表取締役社長の村瀬将思氏は、「No AI without PI (プロセスインテリジェンスなしにAIなし)」をテーマに、日本企業のプロセス変革を支援する取り組みを紹介した。また、DX推進の中核にプロセス変革を据えるマクニカの取り組みをIT本部 本部長の安藤啓吾氏が明かした。

「知的な適応性を持つ企業」だけが生き残る

 独Celonisの日本法人が大阪市で「Process Intelligence Day Osaka 2025」を開催した。同イベントは世界23都市で開催するグローバルのプライベートコンファレンス「Process Intelligence Day」の1つ。大阪での開催は3回目となる。

 基調講演に立った同社代表取締役社長の村瀬将思氏(写真1)は、「これから生き残るのは”知的な適応性を持つ企業”だ」と切り出した。

 知的な適応性とは何か。村瀬氏は、「かつてない速さで変化する世界においてコンポーザブルであることを生き残るための必須条件」と説明。ほかに、「自社の業務を観察して状況を把握し、行動を起こすインテリジェンス」「監視・逸脱の処理、標準的な意思決定、ルーチンワークなどの自律性」「変化を受け入れ、活用するためのチェンジマネジメント」の要素があり、これらを兼ね備える企業・組織が、この先の混迷に立ち向かえるという。

 「このような企業になるためには、エンタープライズAIを適切に機能させる必要がある。しかし現在、私たちはAIの真のポテンシャルを引き出せているだろうか」と村瀬氏は会場に投げかけた。大半の企業がまだ知的な適応性を獲得できておらず、取り組みの途上であることを示唆した。

写真1:Celonis 代表取締役社長の村瀬将思氏

AIと融合し補完し合う「プロセスインテリジェンス」

 Celonisが近年訴えているのは、コンシューマーAIとは異なり、エンタープライズAIには、ビジネスのコンテキスト(文脈、背景、経緯)をも理解し、それを改善する能力が求められるということ(図1)。村瀬氏は、AIの業務活用が加速する今こそ「ビジネスを最も正確に表現しているプロセスに原点回帰する必要がある」と指摘した。

図1:エンタープライズAIに求められるビジネスのコンテキストの理解(出典:Celonis)
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 同社は、現在のエンタープライズAIには欠けている部分があるという見方をしている。それを補ってポテンシャルを引き出すピースとなりうるのがビジネスプロセスであり、最新バージョンの「Celonis」で提供するプロセスインテリジェンス(PI)だという。PIは、プロセスマイニングの基本機能であるプロセスの可視化に加えて、継続的なプロセス改善のアクションまで到達したレベルを指す(関連記事プロセスインテリジェンスとAIの融合─Celonisに見るプロセスマイニングの新局面)。

 Celonisは、AIとPIをどのように組み合わせているのか。村瀬氏は図2を示して説明した。

 図の下は、PIの礎となる各システムのデータマネジメントの領域を示している。構造化/半構造化/非構造化データを、データ基盤の「Celonis Data Core」および連携するデータレイクハウス「Databricks」によって、データを移動・複製することなく統合する。なお、Databricksとの連携は、2025年11月ドイツ開催の「Celosphere 2025」で発表されたアップデートとなる。

図2:AIとプロセスインテリジェンスの組み合わせで実現できること(出典:Celonis)
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 このデータ基盤では、企業独自のビジネスルールやKPI、ベンチマークモデルなどのビジネスコンテキストが付与され 、現実的かつ個々のシステムに依存しない「生きたプロセス」のデジタルツインを構築してPIを提供可能にする。

 図の上は、AI駆動型オペレーションをコンポーザブルに実現する仕組みを表している。プロセスを理解したうえで、AIの適用対象箇所の分析・設計や、AIエージェントとの連携を図り、AI駆動のオペレーションを実行する。

 プロセスは個々のシステムにとどまるべきではなく、PIとして開放され、業務の最適化・再構築などに広く適用されるべき、と村瀬氏。AIとの融合がそれを可能にする。「Celonisは、プロセスの民主化、開放を進めていく」(同氏)。

●Next:マクニカが取り組むプロセスインテリジェンスの確立

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