IDC Japanは2023年7月6日、国内企業の情報システム子会社に関する調査結果を発表した。情報システム子会社と親会社は共に、情報システム子会社における人材不足や新規テクノロジーの対応遅れなどを課題として認識していることが分かった。
IDC Japanは、国内企業の情報システム子会社に関する調査を実施した。これによると、情報システム子会社と親会社は共に、情報システム子会社における人材不足や新規テクノロジーの対応遅れなどを課題として認識していることが分かった(図1)。
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国内の大手企業は1990年前後から、テクノロジーの専門性を高めるためなどの理由で、自社の情報システム/ITの開発・運用を専門に行う「情報システム子会社」を設立した。情報システム子会社は長年にわたって、これら企業のITを支えてきた、とIDCは経緯を説明し、次のように指摘している。
「現在では、デジタルトランスフォーメーション(DX)やデジタルビジネスの時代を迎え、情報システム子会社に期待する役割も変化している。こうした中、情報システム子会社をベンダーなどに売却する企業がある一方、逆に親会社に吸収合併してデジタルビジネスの強化を図る企業もある」
今回の調査では、情報システム子会社を持つ企業(親会社)、および情報システム子会社の双方にアンケートおよび直接取材を実施し、情報システム子会社における現状の課題と今後について尋ねている。
調査によると、親会社/子会社とも、情報システム子会社の課題について「人材不足」が1位になったが、回答率は子会社が親会社を上回った。人材不足が課題であるという共通認識はあるものの、深刻さについては管理する側と現場では違いが見られる。
一方、「親会社ビジネスへの対応能力の不足」については、子会社は課題と考えている割合が低いものの、親会社では「人材不足」に次いで2番目に多い回答となるなど、ここでもサービスを提供する側と受ける側で認識が異なることが分かった。
また、今回取材を行った親会社の中には、デジタルビジネス時代の到来を見据え、情報システム子会社を本社に吸収合併すると共に、新たにデジタルビジネスの子会社を設立した企業も見られた。一方、親会社のIT部門や事業部門とともにワーキンググループを作り、親会社のITやビジネス変革に取り組む情報システム子会社も存在している。
今回の発表は、IDC Japanのレポート「2023年国内企業の情報システム子会社戦略:事業会社の視点から」および「2023年国内企業の情報システム子会社戦略:情報システム子会社の視点から」に基づいている。両レポートでは、情報システム子会社の現状と将来について、親会社/子会社の双方への調査・取材結果を基に分析している。