デロイト トーマツ ミック経済研究所は2023年7月18日、ERPを中心とした基幹業務パッケージソフトウェア市場の調査結果を発表した。2022年度の市場規模は2494.2億円で、前年対比112.2%だった。2023年度は2837.6億円で、前年対比113.8%を見込む。
デロイト トーマツ ミック経済研究所は、ERP（統合基幹業務システム）とERP関連ソフトウェア（連結会計パッケージ）からなる、基幹業務パッケージソフトウェアの市場を調査した。2022年度の市場規模は2494.2億円で、前年対比112.2%だった。2023年度は2837.6億円で、前年対比113.8%を見込む（図1）。
図1：ERPのユーザー規模別市場における中期予測（2021～2027年度、単位：百万円）（出典：デロイト トーマツ ミック経済研究所）拡大画像表示
ソフトウェアベンダー54社とSIベンダー4社を対象に調査した。各社の取材数値に加えてその他ベンダーを推計し、2021年度から2023年度まで分野別に市場規模を割り出した。さらに、2027年度までの中期予測を行った。
メインターゲットのユーザー規模（年商）に応じて4つの市場に分類して調査した。大手企業向け（500億円以上）、中堅企業向け（50～500億円）、中規模企業向け（5～50億円）、小規模企業向け（5億円以下）である。それぞれの市場の概要は以下のとおり。
- 大手企業向けERP市場
年商500億円以上の大手企業向けERP市場は、2022年度出荷金額777.7億円、前年対比111.3%だった。ERPはここ2～3年、デジタルトランスフォーメーション（DX）を推進するシステムとして位置づけられている。また、案件規模の大型化や、統合基盤戦略としてERPやBIツールを同一基盤に乗せてデータを分析するERP活用が進んでいる。大手向けの人事パッケージでは、人的資本の情報開示義務化の対応も進んでいる。 - 中堅企業向けERP市場
年商50～500億円の中堅企業向けERP市場は、2022年度出荷金額889.2億円、前年対比107.2%だった。中堅企業におけるクラウド化の進行や、インボイスを中心とした法改正対応が貢献している。また、ERPを資産管理のツールではなく、企業のDXを推進する手段の一部として位置づけ、各種システムとの連携を前提としたスイート化の戦略を打ち出しているベンダーも多い。 - 中規模企業向けERP市場
年商5～50億円の中規模向けERP市場は､2022年度出荷金額344.0億円、前年対比120.8%だった。前年に引き続き、電子帳簿保存法やインボイスなど各種法改正に対応した会計システムの増加や、IT導入を支援するIT導入補助金の積極活用が後押ししている。 - 小規模企業向けERP市場
年商5億円未満の小規模企業向けERP市場は、2022年度出荷金額483.3億円、前年対比117.9%と大きく伸長した。インボイスを中心とした法改正対応や、中堅・中小ユーザー向けに機能強化を行い、ユーザー対象を広げたことが押し上げの要因になった。
