矢野経済研究所は2023年7月26日、PLM(製品ライフサイクル管理)製品市場の調査結果を発表した。国内における2022年のPLM市場は、システムメーカー出荷金額ベースで前年比5.2%増の2940億5900万円だった。コロナ禍の落ち込みから景気が回復し、企業における設備投資も回復に転じた。同社は今後の見通しとして「PLMの次に来るもの」を予測している。
矢野経済研究所は、PLM(製品ライフサイクル管理)製品市場を調査した。国内における2022年のPLM市場は、システムメーカー出荷金額ベースで前年比5.2%増の2940億5900万円だった(図1)。調査は2023年1月から同年6月にかけて、PLMシステムメーカーを対象に、面談・電話・メールなどで実施した。
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PLMは、開発・生産からメンテナンス、リサイクルに至るまで、製品のライフサイクル全般にわたって管理する概念。今回の調査では、PLMを実現するためのツールとして、CAD/CAM/CAE、PDM(製品データマネジメント)、デジタルファクトリー、ビューワ/DMU(デジタルモックアップ)などのシステムツールを対象とした。
2020年の国内PLM市場は、新型コロナウイルス感染拡大による経済活動の停滞で製造業の設備投資が落ち込み、前年比約3.3%減だった。その後、日本国内で大規模な金融緩和策をとることにより景気が回復し、企業における設備投資も回復に転じた。この結果、2021年の同市場は前年比4.1%増、2022年も同様に回復している。
「デジタルトランスフォーメーション(DX)がトレンドになり、コロナ禍を契機に、テレワーク環境でデザインレビューシステムの普及やクラウドが定着するなど、製造業領域DXの進展、ITの力で乗り切るという前向きな努力がなされたことが、PLM市場の回復に大きく影響している」(矢野経済研究所)
2023年の国内PLM市場は、システムメーカー出荷金額ベースで前年比3.7%増の3048億円になると予測している。2023年以降、世界のPLM市場が回復に向かうと同様に、日本国内のPLM市場も回復に向かうと見ている。
「円安により、PLMの大手ユーザーである自動車や電機など輸出型産業の企業業績は大きく回復している。これはPLM市場に好影響を与えており、この流れはしばらく続く見通しである」(同社)
同社によると、PLMにおいてもSaaSへの移行が始まりつつあるという。「ChatGPTなど生成AIの応用が進むとみられ、大きく変化しつつある。こうした新しいIT技術を取り込みながら、国内PLM市場は今後も発展していく」(同社)。2026年には市場規模が3476億円に達すると予測している。
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